1980年代後半の頃に、アニメージュ ハイテック シリーズというアニメ音楽のアレンジバージョンのCDシリーズがありました。これを世に送り出したのは徳間ジャパンです。
内容は、電子楽器を多用したアレンジバージョンで、1980年代前半によくあった、「シンセサイザーアレンジもの」を継ぐ者、と言えるかも知れません。ですが、音楽の路線としては、かなり違うと言えます。ハイテックは、おそらくディスコブームなどを背景にしたリズムを強く打ち出した音楽の流れの上にあるものと思います。それは、そのような流れのための電子楽器が作られていたことを背景にするものかもしれません。
ハイテックは大きく2つに分けられると思います。1つは、初期の黒ジャケットで、雑多なアニメを取り上げているものです。もう1つは後期の白ジャケットで、宮崎駿監督作品を題材にしたものです。取り上げられた作品はこんな感じです。
黒ジャケット:
- 魔法のスター マジカルエミ
- ゲゲゲの鬼太郎 (アニメ化第3作に対応)
- パレード (各種アニメのメドレー的アルバム)
白ジャケット:
- 風の谷のナウシカ
- 天空の城ラピュタ
- となりのトトロ
- 魔女の宅急便
この中で特筆すべきものを上げるとすれば、マジカルエミ、パレード、ナウシカ、魔女宅の4枚を選びたいと思います。
マジカルエミは、リズムが非常に凝ったアルバムといえます。今聴いても、飽きません。また、当時まだ珍しかったサンプラーを面白く使って見せた点が非常に印象深いです。車のクラクションやスリップ、衝突音、エンジンスタート音などを、まるで楽器の音のように音楽に取り込んでしまったセンスは、とても楽しいものでした。ちなみに、マジカルエミの(たぶん)2番目のCDは、サントラ音源とハイテックの曲をごちゃ混ぜにしているので、そっちを入手しても聴くことができます。
パレードは全く異なるアニメの主題歌のメロディーがうまくつながってメドレーとして流れるのが心地よいと思います。
ナウシカは、ある意味で、上記CD全て合わせた中のベストワンではないかと思います。エスニック系の味を電子楽器で再現していて、ある意味で、オリジナルのナウシカのサントラの路線をパワーアップしたものと言えるかも知れません。ナウシカファンには評判が悪い1枚かもしれませんが、音楽的にはグッドだと思います。
それと比較すると、魔女宅は大胆ではなく、どちらかといえば大人しいアレンジです。しかし、イージーリスニング的に気持ちよく聴ける音楽に仕上がっていて、全体的なバランスが良く取れています。これもグッドです。
とここまで書いてちょっとGoogleしてみたら、上記がハイテックの全てではなく、超時空騎団サザンクロスや魔法の天使クリィミーマミのハイテックがあるらしいことが分かりました。個人的にはCD屋で見た記憶はありませんが、LPでしか出ていないとすれば、見落とした可能性があります。
ハイテックシリーズを(全部聴いていないとはいえ)全般的に評価するなら、極めて大胆で意欲的な音楽であり、すべったアルバムもあるとはいえ、成功作の出来の良さがそれを補って有り余ると思います。
問題は、魔女の宅急便以来、新作が出なくなってしまったことですね。
ハイテック 千と千尋の神隠し、ぜひとも聴きたいな～～～。
と～のは、アニメージュ ハイテック シリーズを応援しています。
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