2002年03月12日
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宇宙世紀の駄ッ作機 ペガサス級強襲揚陸艦

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 1年戦争開戦前夜の地球連邦軍宇宙艦隊にとって、最大の懸案事項は宇宙戦闘機をどうやって戦場に展開するかでした。砲戦用艦艇としては、マゼランとサラミスを揃えてそれなりのバランスを取っていましたが、宇宙戦闘機を戦場まで運ぶには、防御能力も低い輸送船コロンブス級を用いるしかなかったのです。

 これに対処するために、様々な艦艇の建造プランが作成され検討されましたが、どれも今ひとつ決め手を欠き、官僚的な問題の先送りが繰り返されていました。

 このツケは、1年戦争開始直後に払わされることなりました。もちろん、ジオンのモビルスーツは強力であり、それが勝因となったことに間違いありません。しかし、連邦軍の側にも、宇宙戦闘機を運用する母艦となる強力な艦艇を欠くという敗因があったのです。

 もし、というのは歴史では禁句ですが、もし地球連邦軍に強力な宇宙戦闘機の母艦があったらどうでしょうか。モビルスーツの宇宙戦闘機に対する最大の優位の1つは、AMBAC機動により、より少ない推進剤で動ける点にあります。しかし、地球連邦艦隊の防衛戦に限って言えば、艦隊に随伴する母艦があれば、モビルスーツを迎撃する宇宙戦闘機はこまめに推進剤を補給することができたはずです。しかし現実には、宇宙戦闘機への補給能力のあるコロンブス級は脆弱であるとして後方に下げられてしまい、宇宙戦闘機は機動力でモビルスーツに圧倒されてしまったのです。これは、明らかに地球連邦軍の失策であり、避けることが可能な敗因であったと言えます。

 さて、さすがに1年戦争序盤の大敗北によって、地球連邦軍も急ピッチで宇宙戦闘機母艦の設計と建造を押し進めました。それまで提案されたプランの中から、最もマシなSC12号案をベースに、実戦の戦訓や、最新のテクノロジーを織り込み、設計が進められました。関係者は、突貫作業にも関わらず、スマートな宇宙艦に仕上がりそうなことに安堵していました。名前もラングレー級と呼ばれることが内定していました。

 ところが、ある日突然、V作戦本部から来たと称する大人数の技術者が押し掛けてきました。上層部の方で、新型宇宙戦闘機母艦は、V作戦で開発するモビルスーツの母艦としての機能も持つことが決定したのです。

 うまく形になりそうだった設計は、どんどんねじ曲げられていきました。本来3層あった格納庫甲板は、モビルスーツを収納するためにぶち抜きの1層に改められ、搭載機数は激減しました。また、モビルスーツ母艦として運用する以上は、大気圏内でも稼働可能でなければ困るということで、まだ実用性も定かではない新技術であるミノフスキークラフトも搭載されることになりました。更に、宇宙と地球で戦力を融通できないと無駄であるということで、大気圏離脱、突入能力も与えられることになりました。その上、別個に試作されていた大型モビルスーツ輸送機ガンペリーを搭載可能にすることも要求されました。いつの間にか、目標は空母だったはずが強襲揚陸艦に化けていて、敵地を強襲するための装甲や火力も搭載することが要求されました。これらの装備を搭載するために、ただでさえ少なくなっていた搭載能力が更に低下しました。また、対空火器も十分な数を装備できたとは言い難い状況になってしまいました。

 結局、108+6機(+6は予備機)の宇宙戦闘機を搭載可能として設計が開始されたはずのものが、いざ完成してみると、モビルスーツをたった6機しか運用できない艦となっていました。しかも新技術を注ぎ込みすぎ、建造に要する時間とコストも肥大化していました。

 モビルスーツをたった6機しか運用できないのなら、既存のマゼランやサラミスにモビルスーツ運用能力を加えても、性能面で大差ないという結論となり、ジオンへの反攻の主力は、改マゼラン級が担うことになってしまったのです。

 ペガサス級は、カタパルトまで装甲格納庫内に持つタフネスさを買われて、侵攻の先鋒を務めるために少数建造されたものの、実際の戦闘に投入された事例は多くなく、むしろ中立サイドへのデモンストレーションや、各種新装備の実験艦として用いられることが多かったようです。

 たとえば、宇宙世紀0083におけるペガサス級のアルビオンは、まさに様々な装備を実験するために運用されていたわけです。しかし、それはペガサス級が高性能艦であるというよりも、マゼラン級を中心に組まれた艦隊と協調運用しようとしても上手く噛み合わないため、実験艦としてしか使いようがなかったというのが1つの真実でしょう。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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