2002年03月16日
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宇宙世紀の駄ッ作機 DFA-03 ドップ(続き)

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 最初に戦場に出撃したドップのパイロット達は、おっかなびっくりでした。何しろ、大気圏内の戦闘機の操縦経験など誰も持っておらず、まして実戦経験など望むべくもありません。指揮官も部下も、みな初体験なのです。

 ともかく、TINコッドに食いつかれたら旋回しろ。旋回半径が小さい分だけドップが有利のはずだ。ただ、それだけを心に刻み込んで、彼らは出撃していきました。

 ところが、いざ戦闘に入ると面白いようにTINコッドは落ちていきました。ドップが、TINコッドに後ろから食いつかれると、即座に旋回に入ります。TINコッドもそれを追いかけて旋回します。そうやってぐるぐるまわっているうちに、あら不思議、ドップの後ろにTINコッドが居たはずが、なぜかドップの目の前にTINコッドが現れるではありませんか。その状態で易々と、ドップはTINコッドを撃墜することができました。

 パイロット達は徐々に経験を積み重ねていきました。エースパイロットが幾人も生まれました。もはや、戦場の空はジオン軍のものでした。もちろん、ミノフスキー粒子を散布していなければ、電子装備でアウトレンジから必中の空対空ミサイルを撃ってきますから、その場合は勝てません。しかし、ミノフスキー粒子の濃度にさえ気を付けていれば、けして怖いことなどありませんでした。

 さて、こんな状況でも連邦軍はまだ諦めていませんでした。何かドップの弱点はないのか、という研究が行われました。あるとき、ある技官が、中隊ごとの損害対効果比率を計算してみようと思い立ちました。TINコッド1機を失う間に、敵をドップを何機撃墜できているか、その割合を計算してみようと思ったのです。つまり、中隊ごとに、「ドップ撃墜数÷TINコッド損失数」を計算すれば良いわけです。ところが計算プログラムはすぐに、ゼロ除算エラーで止まってしまいました。技官が調べてみると、驚くべきことに、TINコッドを装備した最前線部隊でありながら、1機も失っていない中隊が存在することが分かりました。ユーラシア方面第707航空団第1大隊第3中隊です。その中隊は、けして、戦果は多くありません。平均の半分かそれ以下というレベルでしかありません。しかし、1機も失わずに戦果を上げているとなれば、戦果が少なくとも、それは驚くべき事実です。さっそく技官は、ユーラシア方面第707航空団に問い合わせました。すぐに、「ああ、あの臆病中隊ね」と答えが返ってきました。

 その中隊は、攻撃時には編隊でバルカン砲を撃ちまくりながら高速で突っ込み、戦果があろうと無かろうと、そのまま高速で離脱してしまうという戦法を取っていることが分かりました。他の中隊では、少しでも旋回半径を縮めようと減速しているところを、逆に加速しているのでした。

 技官は、あまりにも単純なことを、誰もが見落としていたことに気付きました。ドップよりTINコッドの方が加速力も最大速度も優れているのだから、逃げる気になれば確実に逃げられるのです。そして、攻撃時にも、高速で突っ込んで、高速で離脱すれば、損害を出すことはほとんどあり得ないのです。

 もちろん、その方法では大戦果は期待できません。しかし、そのことは大した問題ではありませんでした。機体が無事に戻ってくるなら、一度に出撃する機体の数を増やすことは容易であり、それで戦果の少なさを埋め合わせることは可能だったからです。しかも、この戦法は、電子装備とは関係なく使えるので、ミノフスキー粒子散布下でも有効な戦法たりえました。

 技官はすぐにこの戦法を連邦軍内で公表しました。しかし、技官の期待とは裏腹に、多くの部隊では卑怯すぎるとして、採用されませんでした。それよりも、小回りの利く軽戦闘機でドップと心ゆくまで戦いたいと望む戦闘機パイロットが多かったのです。

 しかし、戦時のパイロット短期養成コースで続々と生まれる新米パイロットに、手練れのドップパイロットとの駆け引きを期待することは無理があり、彼らには、技官の発案した戦法が叩き込まれました。

 そして、ドップが空の王者の座を明け渡すときが訪れたのです。約20機のドップ編隊に向かって、新米パイロットを乗せたTINコッド約70機が加速しながらバルカンを撃ちまくったとき、ドップには反撃の手段がありませんでした。旋回する気がまったく無いパイロットを相手に、ドップの優れた旋回性能はまったく無力でした。

 そのすぐ後に、オデッサの決戦が行われ、制空権を奪われたジオン軍は、オデッサを明け渡さざるを得ない立場に追いやられていったのでした。

 その後、加速力と最大速度を向上させるために、エンジン出力の向上や、加速ブースターの装備などが行われ、ドップはDFA-03C、DFA-03E、DFA-03E2と進化して行きました。しかし、もともと小型軽量のドップでは大幅な出力アップの余地はなく、決定打とは成り得ませんでした。また、ドップに代わる新型戦闘機を望む声も戦闘機隊から聞こえましたが、疲弊したジオン軍に、新型機をゼロから開発する余力は残されていませんでした。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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