2002年03月17日
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宇宙世紀の駄ッ作機 CX-78 ガンペリー

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 ミノフスキークラフト。それは夢の飛行技術と言えます。

 連邦軍において最初にミノフスキー粒子の力で飛んだのは、ミデアにミノフスキークラフトを追加した実験機だったと言われています。しかし、連邦軍は、この実験の結果にさほど魅力を感じられませんでした。なぜなら、翼で発生する揚力で飛行させる方が、ずっとエネルギー効率が良かったからです。それでも、あえてミノフスキークラフトの長所を挙げるなら、極めて重量の大きな物体を飛行させるのに有利であること、周囲の空気の分子を引きずって飛ぶため空気抵抗が相対的に少なく音速を突破しやすいこと、そして、空気の流れを乱しにくいことなどがありました。

 しかし、ミノフスキー粒子による電子機器への影響が懸念される状態で、この程度のメリットのためにミノフスキークラフト採用することは、連邦軍として容認できることではなかったのです。

 この状況は、ジオン軍が戦場にミノフスキー粒子をばらまいたことで、変化していきました。もともとミノフスキー粒子があるのなら、今更軍用機がミノフスキー粒子を撒き散らしたところで大差ないではないか、と言われるようになったのです。

 その結果、V作戦では、ミノフスキークラフトの全面採用が決定されました。ペガサス級強襲揚陸艦は、極めて重量が大きく、ミノフスキークラフト以外の方法で飛ばすのは極めて困難でした。もう1つ、ミノフスキークラフトの採用が決まったのは、モビルスーツ輸送機、CX-78 ガンペリーです。

 ガンペリーは、しばしばヘリコプターのような機体と勘違いされますが、これはれっきとしたミノフスキークラフト機です。機体三カ所に接地されたファンは、ミノフスキー粒子の濃度を均一に維持するために回転させられるもので、けして揚力を得るためのローターではありません。このような機構は、機体が十分に大きいペガサス級などでは必要とされず、ガンペリークラスの小型の飛行機械でのみ必要とされるものです。

 通常、ヘリコプターであれば、音速飛行はとうてい無理なのですが、ガンペリーはミノフスキークラフトで揚力を得て、後部のターボジェットエンジンで推進されるので、音速を超えた速度での飛行も可能です。

 さて、ここが最も重要なポイントですが、連邦軍にはミデアという傑作輸送機があったにもかかわらず、なぜガンペリーが開発されたのでしょうか。

 ガンペリーは、ミデアと異なり、モビルスーツ輸送用ということで、サイズもモビルスーツの大きさを基準に決められ、モビルスーツの簡易整備能力を持ち、ペガサス級の格納庫にぴったり収まる大きさで設計されています。しかし、その程度のことなら、わざわざ新機種を開発するほどの価値があるとは言えません。仮にそれが必要だとしても、まだまだ海のものとも山のものとも知れないミノフスキークラフトを採用するという大きなリスクを冒す必要はなかったといえます。

 それにも関わらず、ガンペリーという専用機が必要とされ、ミノフスキークラフトと飛ばねばならなかった理由は、空中換装にあります。

 空中換装とは、飛行中のコアファイターに向かって、ガンペリーからRX-78のAパーツ、Bパーツを投下し、空中でドッキングして完全なRX-78に変化するという荒技です。これを行うためには、どうしても、空気を乱しにくいミノフスキークラフトで飛行する輸送機が必要だったのです。

 V作戦の開始当初には、圧倒的な劣勢下よりの反撃が予想されたため、敵の攻撃を少数のRX-78で支える方策が真剣に考えられていました。そこで、敵を察知すると即座にコアファイターとガンペリーを発進させ、スーパークルーズで先行したコアファイターが時間を稼いでいる間にガンペリーがA, Bパーツを戦場に運び、戦場で空中換装して完全なRX-78となって敵を叩く、という作戦が考えられたのです。この構想のためには、どうしてもガンペリーが必要だったのです。

 しかし、こんな20世紀のアニメのような荒唐無稽の戦法が、現実に実行可能であるはずがありません。いや実行は可能なのですが、パイロットへの負担が大きく、失敗のリスクも極めて大きいものでした。たとえば、空母への着艦はパイロットして極めて難しいと言われていますが、その何倍もの難しさを持っていたのです。実機を用いた数回の試験の結果、コアファイター3機とRX-78一式、そして、貴重なパイロットの命を一つ失った時点で、関係者は空中換装というプランを頭の中のゴミ箱に捨ててしまいました。

 ところが、RX-78の運用マニュアルには、空中換装に関する記述が残っていたために、これを真に受けて実行してしまった部隊があったのです。それが、あの伝説のホワイトベース隊だったのでした。

 続きます。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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