2002年03月20日
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宇宙世紀の駄ッ作機 CBA-05 ドダイGA/YS(続き)

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 ドダイの初出撃の時が来ました。

 当初の構想通り、ザクMS-06Jを釣り下げ、爆弾も機体下部に抱え込んだドダイの1個中隊が、ドップのエスコートを受けて出撃しました。

 目標は、ジオン占領地域に食い込むように存在する連邦軍の小陣地でした。目の上のこぶのようなその小陣地を潰さねば、多くの戦力がその場に釘付けにされる可能性があり、早急に制圧する必要があったのです。

 ドダイ部隊は、その陣地の後方にザクを降下させ、ドダイの航空支援を受けつつ、一気に陣地を蹂躙する計画でした。

 敵陣地を迂回しつつ、敵陣地後方にザクを降下させるところまでは、問題なく作戦は進行しました。

 ザクを降ろして身軽になったドダイは即座に敵陣地に爆弾をお見舞いしようと陣地に向かいました。

 しかし、フライマンタのように急降下しながら陣地内の火砲に向かって爆弾を投下するのではありませんでした。そのかわり、低空から低速で陣地上空に侵入して行きました。当然、濃密な対空砲火の出迎えを受けました。ドダイそのものは、同規模の航空機としては防御力が高く、しかも対地攻撃を行うことを想定して下部装甲は特に強化されていました。しかし、機体下部に取り付けられた爆弾はそうは行きません。陣地上空で、投弾前のドダイが次々に搭載した大型爆弾に銃弾を何発も受けて、爆発炎上してしまいました。編隊が陣地を通過したとき、ドダイの数は約半数に減っていました。

 そんな無謀な爆撃法を行えば大損害を出すのは当たり前のことですが、ザクと爆弾を抱えて敵地まで安定飛行するという過大な要求に応えるためには、多くのものを犠牲にしなければならなかったのです。確かに重量物を支えるための強度は与えられていましたが、逆に言えばザクの釣り下げ部を除けば、強度は大したものではなく、とても急降下に耐えられるものではありませんでした。また安定重視の設計のため、機動性も低いものでした。たとえば、ドップなら小さく方向転換のために垂直旋回することも容易です。しかし、ドダイは機体を垂直にしようとしても、強い復元力が働き、機体を水平に保とうとします。これにより、敵戦闘機に食いつかれた場合、鈍足と言うこともあり、ほとんど生還は期しがたかったのです。

 もちろん、対空砲火の届かない高空から爆弾を落とすという戦法がないこともありません。しかし、命中率は話にならないほど低く、現実に意味のある運用方法とは言えませんでした。

 すぐに、最前線では、ドダイによる対地攻撃は自殺強要の同義語となりました。

 ドダイが失敗作であることは、誰の目にも明らかでした。すぐに、様々な対策が検討されましたが、最初から要求に無理がある以上、そうそう都合の良いアイデアなど浮かぶはずもありませんでした。

 さて、北米で活躍していたザク部隊に、コードネームをヤンキー中隊という部隊がありました。あるとき、ヤンキー中隊は、ドダイに釣り下げられ輸送されている途中で、偵察任務中と思われる敵軍の4輪駆動車を発見しました。ザクマシンガンさえ撃てれば、あんなものは空中から狙い撃てるのに。そう思った中隊長はさっそく、ドダイで輸送されているザクから射撃を行う方法を研究しました。しかし、両肩をフックで固定されているため、そのままではザクの腕は動かせません。腕を自由にするには、ドダイの下ではなく、上にザクを積む必要がある。そう考えた中隊長は、ドダイの機体上面をあり合わせの材料で補強して、ザクの足でドダイの上に立ってみたのです。

 その状態でも、ドダイは飛行することができました。もちろん、あまり派手な機動を行うとザクがずり落ちる危険がありました。しかし、もともとドダイは派手な機動のできない機体です。そのことは大きな問題ではありませんでした。

 もちろん、その状態ではスピードを出すと危険なので、速度は絞った状態で飛ばざるを得ませんでした。しかし、それでも地上を走る装甲車両の数倍の速度でした。ドダイに乗ったヤンキー中隊は、何度も空中から地上目標をザクマシンガンで撃破する戦果を上げ、すぐにザクでドダイの上に乗る戦法は、ヤンキーストライクの名でジオン軍内に広がりました。

 ヤンキーストライクはドダイ向きの戦法でした。何しろ爆弾を積まなければ誘爆の危険はなく、しかも爆撃しないのなら、無理に敵の対空砲火の中を低空で飛ぶ必要もなかったのです。

 機体上面を補強したドダイは、ヤンキーストライク(Yankee Strike)用ということで、ドダイYSと通称されるようになりました。それに対して、補強されていない機種は、失敗ゴミ(Garvage Aborted)を略して、ドダイGAと称して区別されるようになりました。

 最前線からの要望に押されて、それ以後のドダイは、全てYS仕様で生産され、最前線のモビルスーツ部隊からは歓迎されました。YS仕様のドダイはCBA-05Aという型式番号があとから追認されるように与えられ、その後、爆撃用の装備を取り外して製造工程を簡素化したタイプが、CBA-05Bとして量産されました。

 これにより、ドダイはモビルスーツ部隊の足として、地球上のどの部隊でも見られるありふれた装備となりました。しかし、ただ単に空中から攻撃するだけの任務と考えれば、モビルスーツとドダイの組み合わせは高価すぎると言えました。通常の対地攻撃機があれば、もっと安あがりに、同程度の戦力を保持できた可能性があります。しかし、関係者は最前線から要求されるドダイYSを供給するだけで忙殺され、結局終戦まで、通常の対地攻撃機の開発に本格的に着手することはありませんでした。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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