2002年03月22日
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宇宙世紀の駄ッ作機 MS-09 ドム(続き)

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 地上に到着したドムは、ただちに地球上での最終確認テストが行われました。急いで開発された機体とは言え、ジオン本国でもテストしていますし、シミュレーションでも何の問題も出ていませんでした。すぐに確認は終わり、同行した開発技術者達もお役御免となり、故郷に帰れると誰もが思っていました。

 ところが、地上でホバー走行させると、ドムはすってんころりん、すぐに転倒してしまうのでした。予想以上に不規則な凹凸の多い地面と、不規則な空気の流れが、機体を不規則に揺らし、それが限界を超えると転倒してしまうことが判明しました。

 ドムは、モビルスーツとしては低重心でしたが、それでも十分に低くはなかったのでした。

 これでは戦闘どころか、戦場まで移動することすらおぼつかないぞ、ということに技術者達は気付きました。

 しかし、既にドムを渡す相手であるランバ・ラル隊は任務を開始していました。今更、待てとは言えません。

 そこで、一人が逆転の秘策を思いつきました。さっそく、彼はランバ・ラル隊の活動を苦々しく思っている政府高官に連絡を取ったのです。彼は言いました。

 「今なら機体の不調を口実に、新型機のランバ・ラル隊への引き渡しを引き延ばすことができます」

 これにより、表向き、さる政府高官の圧力により、ドムはランバ・ラル隊に渡らないことになりました。技術者達は、一息つくことができました。そして、すぐに機体の改善に着手しました。装甲板を外したり、デッドウェイトを追加したり、全体の重量バランスを見直し、エンジン出力も抑え、風の影響を受けやすい面積の大きなパーツは外してしまいました。

 さて、何とか安定走行が実現できた頃、黒い三連星の異名を持つベテランパイロット3名がドムの受領にやって来ました。

 さっそく現物を見た彼らは言いました。

 「高度百メートルまでジャンプできるホバーの推進力はどこにあるんだ?」

 技術者は、そんなものは売り込み用のパンフレットにしかありませんよ、ドムの神髄は二足歩行の数倍の速度で地上を高速移動できることです、と白々しく言い切ったのでした。

 黒い三連星はその言葉に納得してドムを受領していきました。

 まあ、いろいろあったものの、ドムはザクと比較すれば圧倒的に高性能であり、ベテランパイロットが使えば大戦果間違いないと技術者達は確信しながら故郷に帰っていきました。

 ところが、いざ実戦に出たドムは、誰も予想していなかった問題を引き起こします。黒い三連星の必殺技、ジェットストリームアタックは、3機のドムが一列に並んで敵に突っ込むというものですが、このようなフォーメーションを取った場合、前を行くドムが地上から巻き上げる埃や砂利などが、後方のドムの機体を痛めてしまったのです。特にホバー機構の空気取り入れ口から入り込んだ埃やゴミは、ホバー機構を痛めました。その結果、ホバー出力の低下や不安定性が発生し、操縦性が極めて低下しました。

 戦闘序盤では圧倒的な機動力で戦場を支配したドムですが、中盤以降、パッとした動きを見せず、次々とホワイトベース隊のRX-78やGファイターの餌食になっていきました。

 さて、最初に実戦に投入されたドムがそのような悲惨な末路を辿ったにも関わらず、カタログスペックの優秀さゆえに、量産が決定され、ドムは続々と地球上に送られました。

 新品のドムは確かに高性能でした。しかし地上をホバー走行していると、巻き上げた石などで足のスカートがどんどん傷んで行くのが普通でした。スカートが傷ついたりゆがんだりすると、ホバー圧が一定にならず、直進安定性が損なわれることになり、ひどいものになると転倒しやすい癖が付いたりしました。また、戦場で余った武器を応急的に取り付けることも、重量バランスを崩すことになるため、なかなか実行できませんでした。

 その結果、ドムが配備されても、まだまだザクやグフが主力となる部隊も多く、ドムを運用する部隊でもホバー移動を使わない場合があったと言われます。

 しかし、最前線での不評が聞こえないかのように、ジオン本国の上層部でのドムの評判は悪いものではありませんでした。ホバー走行するドムの迫力ある姿が、彼らにある種の満足感を与えのかもしれません。少なくとも、ザクの次の世代の兵器を実感させるものであったことは間違いないでしょう。

 そこで誰も予想していなかった事態が起こりました。宇宙用モビルスーツの本命、ザクの後継機の開発が遅々として進んでいなかったのですが、それが完成するまでのピンチヒッターにドムをというアイデアが、政府高官に浮かんだのです。

 MS-09Rリックドムに続きます。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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