2002年03月28日
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宇宙世紀の駄ッ作機 MAN-03 ブラウブロ

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 ジオン軍事産業の中では、ザク後継機を巡って、人型派と非人型派が激しく争っていました。しかし、エースパイロットの多くを味方に付けた人型派が徐々に優勢になって来ました。結局のところ、現場で使うベテランの意見は、理屈よりも重かったのです。

 追いつめられた非人型は逆転一発を狙って、様々な大胆な活動を行いました。そのうちの1つが、ニュータイプを研究するフラナガン機関との全面提携でした。

 ニュータイプ思想の原点がどこにあるかは定かではありませんが、これを世に広めたのはジオン・ダイクンであったと言われています。

 しかし、現実のニュータイプ思想は、世間で言われているような夢多き理想論ではなく、かなり怪しげでいかがわしい思想でした。

 ここに至る歴史の流れを理解するには、宇宙世紀0050頃まで遡らねばなりません。この時期、地球連邦に反対する勢力は弱体化が進行しつつあり、遠からず地球全体が地球連邦政府に統合されるだろうと言われるようになりました。これは、少ない予算をやりくりしながら、地球連邦軍が良い仕事をした証拠です。しかし、良い仕事をやりすぎたとも言えます。もし、地球全体を連邦政府が統治するようになれば、連邦軍の敵は存在しなくなり、軍の存在意義は消滅してしまうのです。

 連邦軍は、政府にも秘密で、新しい敵を作り出す研究に着手しました。その結果作成された秘密文書が、サイド3を狂信的反連邦勢力として育成する計画書でした。計画の骨子は、地球から最も遠く、経済的影響の少ないサイド3に、彼らこそ正義をなす者であるという思想と、継続的に武器を生産する兵器産業を与えるというものでした。邪悪なる地球連邦を討つ正義の国家、という思想さえ深く受け付けることができれば、いくら叩かれても抵抗し続ける勢力になります。それこそが、連邦軍が存続を続けるために必要不可欠なものだったのです。

 その意を受けて、サイド3に入ったのがジオン・ダイクンでした。彼は人望ある穏健派の政治家と目されていましたが、多額の献金を軍需産業から受け取っており、現実には軍と死の商人の手先でした。ジオン・ダイクンは、人類の進歩は地球の重力から解き放たれた宇宙の民から起こると説き、それは地球から最も遠いサイド3から始まるだろうと訴えました。これが、ニュータイプ思想です。

 しかし、そのような背景から語られた思想に、本当に確実な裏付けなどありはしなかったのです。要は、苦境にあえぎながら必死に生きているサイド3住人が信じたくなるようなストーリーであれば良かったのです。

 その結果、そのストーリーを狂信的に信じ込んだ信者や、あるいは、それをタネに一儲けしようと考える詐欺師も生まれました。

 ニュータイプの研究機関を標榜するフラナガン機関も、その種の詐欺組織の1つでした。フラナガン機関では、戦災孤児を集め、彼らに超能力モドキのデモンストレーションを行わせました。それは、手品としてはあまりに簡単なトリックでしたが、ニュータイプを信じ込んだ狂信者には見破ることはできませんでした。

 そのようなデモンストレーションの中に、拡大された空間把握能力により、一人で複数の宇宙機を操縦でき、緊密な連携攻撃を実現する、というものがありました。

 それを見て感動した非人型派の重鎮は、すぐに軍に掛け合って、試作のための予算を分捕ってきました。そして、パイロットを乗せたモビルアーマーと、複数の小型無人宇宙機の組み合わせでユニットを編成し、モビルアーマーからの有線操縦で無人機をコントロールするという研究が開始されたのです。

 敵の前後左右に宇宙機を飛ばして全方位から同時攻撃すれば、どんな敵も逃れられないはずでした。これはオールレンジ攻撃と呼ばれ、成功すればモビルスーツというジャンルそのものが過去の遺物になるはずでした。

 紆余曲折の結果、モビルアーマーが有線操縦可能なビーム砲を操縦するという形に集約され、それなりに実戦テストに投入することも可能と言える機体ができあがりました。

 それは、MAN-03ブラウブロと名付けられました。ブラウブロは、広く読む(Browse Broaden)を縮めたもので、ニュータイプの強力な把握能力をイメージさせる名前でした。

 それと平行して、パイロットを捜すために、ジオン軍内でニュータイプ能力判定試験なる怪しげな面接試験が行われました。そして、若干ニュータイプの素質ありという結果が出されたシャリア・ブルが、テストパイロットに指名されました。

 シャリア・ブルはニュータイプ思想を信じてはいませんでしたが、さりとて、嘘だと思っていたわけでもありませんでした。しかし、多くの偉い人が真剣に取り組んでいるのを見て、これは本当だったのかも知れないとうっかり信じ込んでしまいました。

 さあ、いよいよテスト開始です。

 続きます。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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