2002年04月03日
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宇宙世紀の駄ッ作機 MS-15 ギャン

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 1年戦争初期のMS-06ザクの目覚ましい活躍は、各方面に大きな衝撃を与えました。しかし、その衝撃が大きいほど、かえって当事者は冷静になって、ザクの真の成果を見極めようとしました。

 ジオン軍の兵器開発担当部署では、MS-06(とMS-05)のもたらした戦果を分析する作業が行われ、その結果、1つの問題を突き止めました。

 それは、戦果の半分以上が、少数のエースパイロットによりもたらされたということです。つまり、一般パイロットだけに限れば、けしてザクは目覚ましい戦果をもたらしてくれる機体とは言えなかったのです。

 当然、少数のエースパイロットに頼って戦争を行うことはハイリスクでありすぎますから、打開策が検討されました。

 一般パイロットでも容易に扱え、戦果を得ることができる機体とはどのようなものか。それを得るための研究が細々とスタートしました。

 その結果、一般パイロットは攻撃チャンスをなかなか作れず、チャンスがあっても攻撃を当てることが困難であることが分かりました。それにより、数少ないチャンスに確実に攻撃を当てることができる機体こそ、目的の機体ではないか、と考えられました。

 それを実現すべく構想されたモビルスーツは、他のどんなモビルスーツよりも長いビームサーベルと、一度に全弾を発射可能な盾型のミサイルランチャーを武装として持っていました。長いビームサーベルは、振り回せば敵に当たりやすく、多数のミサイルを同時に発射するランチャーは命中確率を上げられます。どうせチャンスが少ないのなら、一度に全弾を撃っても問題ありません。

 この構想はジオン軍内で一定の支持を得ました。これから連邦軍との戦いが続く中、一般パイロットが戦果を上げやすいモビルスーツは、重要な役割を果たすと考える者も多かったのです。

 そして、正式にザク後継機の競争試作がスタートする際、エースパイロットの要望を何もかも取り入れたゲルググと、一般パイロットが戦果を上げやすいギャンの2つのプロジェクトがスタートすることになったのです。

 ギャンは、生産性や整備のしやすさなども配慮して機体をシンプルな構造としました。これにより、どんなにジオンが追いつめられても生産し、整備し、出撃させられるモビルスーツを目指しました。

 しかし、この競争試作は、ギャンに不利な展開となりました。サバイバビリティの高さを目指したギャンはカタログ上の性能で、ゲルググに大きく劣ってしまったのです。その上、ザク対策の進む連邦軍は防御能力を高めつつあり、生半可な攻撃力では連邦軍に勝てないと言う機運が高まってきました。ゲルググなら、巡洋艦並みのビーム砲を搭載して、装甲を強化したマゼラン改を一撃で沈めることができましたが、ギャンにはそれだけの火力はありませんでした。

 しかし、ギャンの立場で言えば、それは意味のない比較でした。一般パイロットはビーム砲を一撃で命中させられるだけの腕がないので、「巡洋艦並みのビーム砲」という言葉そのものが無意味でした。それよりも、ギャンのミサイルを一斉発射して、マゼラン改の外部に装備された砲塔を撃破してしまう方が、ずっと現実の戦いを有利にすると言えました。

 そのような反論は、エースパイロット達の言葉によってかき消されました。もっともモビルスーツの戦いをよく知ると信頼の厚いエースパイロット達は、みなこぞってザクの順当な発展形であるゲルググを推薦しました。

 競争試作に負けそうになったギャン関係者は、政府高官に取り入ろうとマ・クベに接近しました。マ・クベは政治力はありましたが、軍事にはうとく、ギャンの完成予想図を見ると、「まるで槍を構え、盾を持った騎士のようだ」と漏らしました。マ・クベは、騎士のごとく洗練されたデザインなら自分専用のモビルスーツにも欲しいと述べ、そのためになら援助をしようと申し出ました。

 その結果、生産や整備を容易にするためのシンプルな構造は変更され、騎士を連想させる曲面の多い構造に変更されました。また、長いビームサーベルを用いた優雅な格闘戦のために機体各所にパワーアップと強化が施され、マ・クベ好みの近接格闘機へと変貌していきました。

 しかし、もともとそのような機体を目指したものではなく、近接格闘機としても、一般パイロット向けの機体としても中途半端になり、ギャンの構想を支持した者達も支持を取り下げ始めました。一人のマ・クベという支持者を得るために、他の多くの支持者を失ってしまったのです。

 結局、競争試作では大差でギャンは負けたものの、約束通りマ・クベだけはギャンを正式に採用し、その結果MS-15という制式番号が与えられました。マ・クベは、ギャンによるエリート親衛隊を組織することを意図していたと言われますが、実際にはその構想を具体化する前にマ・クベは戦死し、ギャンが量産されることはありませんでした。

 もっともマ・クベが生き延びたとしても、本土決戦を睨んだ総力戦体制にあったジオンが、マ・クベの独自行動を許したかどうかは分かりません。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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2005年08月20日ギャン至上主義From: 3ToheiLog

昨日BSでガンダム特集やってましたねえ。 途中で寝ちゃいましたが。 愛がたりねえ。 orz * というわけで、ガンダム特集。 ギャン・至上主義。... 続きを読む

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