2002年04月08日
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宇宙世紀の駄ッ作機 MS-14 ゲルググ(続きの続き)

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 MS-14をテストしたエースパイロット達は、これこそが待ちに待ったモビルスーツだと口を揃えました。様々なテストでも好成績を残し、連邦の主力モビルスーツGMをも大幅に上回る火力、装甲、機動性を兼ね備えていることは、誰の目からも明らかでした。

 普段は意見が割れるザビ家一同も、珍しくMS-14については全員が前向きに評価しました。

 これさえ量産すれば、劣勢にあった戦況をひっくり返すことも難しくない、と誰もが興奮したのでした。

 しかし、戦況は既に待ったなしの危機的状況でした。迷っている暇などありませんでした。

 MS-14は、別名「大ジオン圏決戦機」と名付けられ、国家の総力を挙げてMS-14の量産を行うことが決定されました。他の全てのモビルスーツやモビルアーマーの量産ラインは全てMS-14の生産に移行し、三ヶ月で3000機、半年で10000機のMS-14を生産するものとしました。ちなみに、この時点でのジオンが保有するモビルスーツは旧型機を含め約1300機。連邦軍はボールを含めても1700機でしかありませんでした。その状況で、10000機のMS-14を生産するなど、現実的には誇大妄想以外の何者でもありませんでした。

 しかし、ジオン軍は本気で10000機のMS-14を前提とした反撃計画を策定しました。もちろん、MS-14だけで戦争はできません。まずは、建造中のグワジン級戦艦2隻の船体を転用して結合し、空母として竣工が急がれていた巨大空母ドロス。これがMS-14の母艦として急ぎ完成を目指すことになりました。更に、ザビ家関係者が使っているグワジン級戦艦のうち2隻を返上させて、これを使ってドロス級2番艦を建造することも決定されました。

 そして、まずはジオン本土近くまで連邦軍を誘い込みます。そこで待ちかまえたMS-14でこれを壊滅させた後、2隻のドロス級空母にMS-14を満載して、ルナツーを攻略。そして、宇宙空間の連邦軍を掃討後、MS-14部隊は地上に降下し、MS-14の圧倒的な火力と防御力で地上の連邦軍を制圧するとされていました。

 この作戦は、連邦側にMS-14の対抗手段を開発させるゆとりを与えないように、迅速に実行することが重要だとされました。つまり、MS-14の生産には、いささかの遅れもあってはならなかったのです。

 しかし、実際に生産が始まると、次々に大幅なスケジュール遅延が発生しました。その理由は様々です。

 たとえば、モビルスーツの生産工場としては、ずっとザク系を生産してきた工場と、ザクと違う系列のモビルスーツを品を替えながら生産してきた工場がありました。後者の工場はともかく、前者の工場は、ザクではないモビルスーツを生産したことがなく、いきなり全く別個のモビルスーツを製造せよと言われても、おたおたするばかりで、ラインの切り替えが迅速に進みませんでした。

 また、優秀な工員が多数徴兵されたため、どの工場も生産能力も低下していました。一見、ノルマを達成しているように見えながら、完成品の品質が落ちる一方でした。このことは、マージンの多いザク系の機体ではあまり表面化していませんでしたが、ぎりぎりまで切りつめて性能を向上させたゲルググではすぐに問題となりました。量産ラインから次々と出てくるゲルググは、そのまま飛ばすと直進しないものばかりだったのです。しかも、装甲板に隙間が出来ているものも珍しくありませんでした。当然のことながら、そのような隙間は防御の隙になるだけでなく、強度上も問題となりました。ピタッと合わさっていれば全体で強度を保つものが、隙間があれば、特定の場所にストレスが掛かってしまい、壊れやすくなってしまいます。このため、高機動訓練などで装甲板が剥離したり割れたりする事件が多発しました。

 また、加工精度が低いため、関節機構も滑らかに動かない機体が多く、素早いAMBAC機動に支障をきたしていました。実際に機動させるとMS-06並の動きしかできない機体も多く、それどころか、それにさえ達しない機体もありました。仮にMS-06並に動かせても、機体が重い分だけハンデがあるので、MS-06以下の機動しかできないのでした。

 そして、ジオンモビルスーツ初の巡洋艦並みのビームライフルも、エネルギーが接続部から漏れるという事故が多発しました。接合部分がピッタリ合わないコネクタがしばしば存在したためです。これは下手をすると機体そのものが爆発しかねない危険な欠陥でした。

 そんなこんなで、MS-14の量産は、予定の数分の1の数しか生産できず、しかもあまりに不都合が多くて工場に返送される機体が半数を超えていました。残りの機体も、問題が無いとは言えませんでしたが、整備員達の努力で不具合を解消して出撃可能にしていたのです。MS-14の格納庫では、どこでも、深夜までノギス片手にパーツを削る整備員達の姿が見られました。しかし、そのような努力が可能なのは、一部の熟練整備員だけで、新米整備員しかいない部隊では、軽度の不具合を持つMS-14はそのまま使うしかありませんでした。

 続きます。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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