2002年04月09日
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宇宙世紀の駄ッ作機 MS-14 ゲルググ(続きの続きの続き)

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 ともかくMS-14は生産され、実戦部隊は順次機種変更を行うことになりました。とはいえ、最前線では激戦が続いており、のんびりと部隊ごと本国に戻って、取扱講習や慣熟訓練などを悠長にやっている余裕はありませんでした。

 MS-14は、基本的にMS-06の延長線上にある機体であるため、MS-06に慣れていれば多少動かせば身体で分かるだろうということで、輸送船をフル稼働させてともかく最前線部隊に送ってしまおうということになりました。そして、MS-14量産に必要な資源を得るため、それまで使用していたMS-06などの旧型機は帰りの輸送船でジオン本国に戻すことになりました。

 一見、結構な措置に見えましたが、いざ実行するとあちこちの最前線部隊で大きな混乱が発生しました。各部隊の事情も考えず、ともかくMS-14を一律に押しつけるような形になったからです。実際には、モビルスーツ部隊といっても、艦艇に搭載される部隊、占領地の警戒部隊、隠密偵察や威力偵察を行う部隊など、それぞれの部隊の事情に合わせて、様々な特色ある機体を運用していたのです。それを一律にMS-14にせよ、という指示は、あまりに思慮が足りないものと言えました。

 各方面からの苦情により、MS-14の一律配備は取り止めとなりました。もっとも、一律配備はやりたくても出来なくなった、というのも事実といえます。生産されるMS-14の数が大幅に計画を下回ったため、ア・バオア・クーに配備される予定の決戦部隊にMS-14を送るだけで精一杯で、他の部隊にまでまわす余裕が無くなっていたのです。

 MS-14を受領した部隊でも、MS-14の評判は、芳しいものではありませんでした。MS-14の武装としては、ビームライフルと、ビームナギナタが標準装備として付属していましたが、それはそれまでの主力武装であるザクマシンガンとヒートホークとはあまりに使い勝手が違っていました。確かにMS-14の機体の特性はMS-06と似ていたのですぐに慣れることができましたが、ザクマシンガンに慣れたパイロットがすぐにビームライフルを使いこなすのは無理でした。もともと無駄弾を撃たないエースパイロット達は一撃の破壊力が大きいビームライフルを歓迎していましたが、一般のパイロットは、ザクマシンガンで弾をばらまいて命中確率を上げるような射撃を行うように指導されていることが多く、単射しかできないビームライフルを使いこなすことができませんでした。その結果、せっかく機体は新型のMS-14になっても、武装として旧式なザクマシンガンを装備して出撃する例も多く見られました。

 もっとも、それでも装甲と機動性が上がることになるので、メリットが無いわけではありませんでした。しかし、MS-14の生産工場が増えるに従って、品質の悪い粗悪なMS-14も増えていきました。MS-14よりも、完全に旧式化したはずのMS-06Fの方が戦果を上げるという珍事が発生する部隊もあったほどです。つまり、十分な品質で念入りに作られた古い機体の方が、確実に動作し癖もなく操縦しやすかったと言うことです。

 この混乱は最終的に終戦まで尾を引くことになりました。

 さて、ア・バオア・クーに展開する決戦部隊の方は、装備の供給は万全であり、理想的なMS-14部隊になりつつありました。しかし、ベテランパイロットが圧倒的に不足していました。もともと、ジオンのベテランパイロットの多くが失われ、不足状況だったところに、ジオンモビルスーツ実戦部隊の父とも言えるオリジー・フィルド大佐が提唱したエリート部隊である第343MS部隊の存在がそれに拍車を掛けていました。

 第343MS部隊は、優秀な機体と優秀なパイロットを1カ所に集めれば連邦軍にまだまだ一泡吹かせられるという構想により実現された部隊で、リックドムを中心に装備し、連邦軍主力艦隊を何度も苦しめました。しかし、その代償として、他の部隊のベテランパイロット層が手薄になってしまったのです。

 第343MS部隊はソロモン撤退を最後まで支援して大半が消耗してしまい、生き残ったパイロットは多くありませんでした。その結果、決戦部隊は新米パイロットばかりで構成するしか無かったのです。

 そして、MS-14は、新米に優しい機体ではありませんでした。指先の微妙な動き1つで自由自在に機動させられるMS-14は、新米から見れば僅かな操作ミスで予想も付かない姿勢にひっくり返る機体だったのです。しかも、工作精度が低いため、機体ごとに癖があり、ある機体に慣れても、他に機体は操れないという事態も多発しました。

 機体が安定させられねば、射撃にも影響します。ただでさえ射撃が下手な新米が、このような機体に乗って、ビームライフルを命中させられるわけがありませんでした。

 続きます。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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