2002年04月10日
トーノZEROアニメ感想機動戦士ガンダムtotal 5210 count

宇宙世紀の駄ッ作機 MS-14 ゲルググ(続きの続きの続きの続き)

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 MS-14の開発完了は、結局のところ、連邦軍とのぎりぎりの均衡を保っていたジオン軍戦線のバランスを崩す引き金を引いたと言うことができます。これ以後、ジオン軍の戦線は全面的に崩壊を始めます。

 しかし、ジオン軍関係者がそのことに無策であったわけではありません。

 MS-14の品質を高めることや、パイロットの技量を少しでも高めることなど、様々な打開策が短期間に次々と打ち出されました。その点に関して、ジオン軍は極めて迅速に対応したことは間違いありません。

 軍は強権を持って、兵器製造の現場に踏み込んでいきました。高圧的に工員を怒鳴るしかない能のない工場長を罷免したり、金儲けのために粗悪品を製造させる経営者を更迭したり、工員の技能教育の規範マニュアルを作成すると共に、巡回する技能研修隊を組織したり、あらゆる手段を使ってMS-14の品質改善を進めました。

 また、パイロット養成に関しては、推進剤や弾薬の倹約方針を撤回させ、短期間で出来る限りの経験をパイロットに積ませるように制度を変更させました。また、最前線の経験者を一定の割合でパイロット育成の現場に配置させ、実戦経験者のノウハウが迅速に新米にも伝わるようにしました。

 ア・バオア・クーで連邦軍を殲滅させた後、反撃に転じるための部隊が、ジオン本国およびグラナダで編成が開始される頃には、これらの方針が順調がまがりなりにも稼働し始めました。

 しかし、それは時期が遅すぎました。ア・バオア・クーに配備された決戦部隊のMS-14は粗悪な品質のものばかりで、パイロットも倹約方針の中で育成された飛行時間の短い者ばかりだったのです。

 ジオン本国からは、品質良好なMS-14と、推進剤と弾薬に糸目を付けずに訓練されたパイロットからなる中隊を、準備でき次第ア・バオア・クーに派遣するものと決定されました。グラナダからも、それに準じる形で、ア・バオア・クーへの増援を出すことになっていました。

 しかし、ジオン本国よりの増援部隊はア・バオア・クーへの出発直前に、ソーラレイの直衛に命令変更されました。ア・バオア・クーに迫りつつある連邦艦隊が、いきなりジオン本国にあるコロニーレーザーを攻撃するなど、普通なら考えられないことですが、ソーラレイこそが最後の切り札と考えるギレン・ザビは、急に恐怖心にとらわれ、軍に方針変更を命じたのです。また、グラナダからの増援部隊は、ア・バオア・クーへの連邦軍の攻撃に間に合うように出発したものの、グレート・デギンの消失に疑念を抱いたキシリア・ザビが、最悪の事態を想定して自らの根拠地であるグラナダに戻りそこを防衛するように命じたため、ア・バオア・クーには到着しませんでした。

 ア・バオア・クーの陥落の報が、ジオン本国やグラナダに伝えられたとき、事情を知る多くの者達は悔しがりました。ソーラレイによって艦隊の中核を失った連邦艦隊を相手なら、本物のMS-14部隊で迎え撃てば勝てたかも知れない。それだけでなく、ア・バオア・クーの攻略戦でさらに戦力を消耗した連邦艦隊が相手なら、残されたMS-14部隊で撃滅できるはずだと檄を飛ばす軍人達もいました。

 しかし、状況は彼らには味方しませんでした。MS-14関係の工場を始め、多くの民間活動に高圧的に介入していたジオン軍は、かなりの恨みを買っていました。

 ザビ家亡き後、混乱するジオンをまとめて講話に持ち込もうとした政治家達、ジオン共和国関係者は、今こそ軍に奪われたものを取り戻すときだと国内に向けて宣伝しました。その結果、ジオン軍関係者は、連邦軍と戦う前に、ジオン国民を相手にしなければならなくなりました。

 MS-14部隊の基地は、暴徒の襲撃を受け、売れば金になりそうな多くの部品や装備が奪われました。

 ジオン共和国が、残された穏健なジオン軍関係者を掌握して秩序回復を実現したとき、その基地に残されていのは、無惨にも部品をはぎ取られ、骨だけになったMS-14達だけでした。

 そのため、戦後の連邦軍による調査の際も、完全な状態で残されたMS-14の数があまりにも少なく、困難に直面したと言われます。

 あれだけ多数のMS-14を製造したのに、実際に戦場で撃破されたり、連邦軍に接収された機体の数は少なく、残りの機体はどこかに隠されていて、未だにジオン再興を企む秘密結社が所有しているという説もありますが、実際には民間人達によって解体され、売り払われてしまったというのが妥当なところでしょう。

 結局のところ、MS-14は、何もかもタイミングが遅すぎた結果、本当の意味で活躍する機会を与えられなかった機体だと言えるでしょう。

 しかし、もし、エンジンの選定などの躓かなければ。あるいは、各工場の品質管理を早期から徹底させれば。また、ベテランパイロットが揃っている早い時期に配備されていたら、といった仮定をしてみても、戦況をひっくり返すだけの力となったかどうか分かりません。結局のところ、敵に予測すらさせないほどの画期的新兵器であったMS-06と違い、MS-14はMS-06の順当な強化版に過ぎなかったからです。連邦軍は、MS-06対策をパワーアップするだけでMS-14への対策とすることが可能であったと言えます。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

Facebook

キーワード【 トーノZEROアニメ感想機動戦士ガンダム
【機動戦士ガンダム】の次のコンテンツ
2002年
04月
11日
宇宙世紀の駄ッ作機 MSM-03 ゴッグ
3days 0 count
total 5159 count
【機動戦士ガンダム】の前のコンテンツ
2002年
04月
09日
宇宙世紀の駄ッ作機 MS-14 ゲルググ(続きの続きの続き)
3days 0 count
total 5033 count

このコンテンツを書いたトーノZEROへメッセージを送る

[メッセージ送信フォームを利用する]

メッセージ送信フォームを利用することで、トーノZEROに対してメッセージを送ることができます。

この機能は、100%確実にトーノZEROへメッセージを伝達するものではなく、また、確実にトーノZEROよりの返事を得られるものではないことにご注意ください。

このコンテンツへトラックバックするためのURL

http://mag.autumn.org/tb.aspx/20020410220029
サイトの表紙【機動戦士ガンダム】の表紙【機動戦士ガンダム】のコンテンツ全リスト 【機動戦士ガンダム】の入手全リスト 【機動戦士ガンダム】のRSS1.0形式の情報このサイトの全キーワードリスト 印刷用ページ

管理者: トーノZERO連絡先

Powered by MagSite2 Version 0.36 (Alpha-Test) Copyright (c) 2004-2021 Pie Dey.Co.,Ltd.