2002年04月29日
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連邦軍小失敗の研究(6) 秘密兵器を実験開発する場所の選定問題

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 1年戦争における連邦軍の最重要兵器開発とは、言うまでもなくV作戦と言えるでしょう。しかし、V作戦のモビルスーツの開発と実験は、サイド7という僻地で行われていました。確かに、連邦軍の最新鋭兵器の開発がサイド7で行われていたと聞けば、えっと驚く意外性があります。しかし、宇宙空間の制宙権の多くがジオン軍の支配下にある状況で、この決断は無謀でありすぎました。人や物資の移動を民間船に偽装して行っている間は良かったものの、V作戦専用に建造されたペガサス級をサイド7に向かわせれば、何か怪しい秘密があると自分から言っているのに等しいことになります。つまり、サイド7に向かうホワイトベースを発見した指揮官なら、赤い彗星のシャアでなくても、すぐに何か重大なことがサイド7で行われていると気付くでしょう。

 仮に、サイド7に向かうホワイトベースが運良くジオン軍に発見されなかったとしても、帰路ジオン制宙権を突っ切って大気圏突入するまで発見されないという保証はありません。もし、ジオン部隊に攻撃を受けた場合、テストが終了したばかりの新型モビルスーツで防戦するしかありませんが、これはあっさりと秘密兵器を敵に晒すこととイコールであるため得策とは言えません。

 つまり、サイド7で新型兵器を開発実験するということそのものが、極めてメリットが疑わしい決定であったと言えます。

 このような事例は、他にもあります。RX-78の改良型であるRX-78NT1は、地球上の僻地で開発と実験が行われ、そこがジオンに発見されると、中立のサイド6に移動させて作業を継続するという方法を取りました。しかし、これは、極めて無謀な決定であって、中立サイドでは様々な意味で機密保持に問題があり、ジオン工作員による破壊工作の標的になりました。それだけでなく、中立サイドの警察までが、事件の調査のために軍事機密の開示を迫るような事態となり、関係者は何度も真っ青になりました。

 このような、ジャブローからはるか遠い場所で最新兵器を開発したがる連邦軍の性癖は、1年戦争前からいくつもの事例があったものです。北米の砂漠の真ん中でテストされたTINコッドや、中国奥地で開発された61式戦車などの事例もあります。

 その原因としては、連邦軍自身が、防諜という問題に自信を抱いていなかったことがあげられます。膨大な人間が出入りするジャブローの中に、敵のスパイがいないと確信を抱くことができず、重要な兵器の開発や実験は、常に人の軍関係者の出入りが少ない場所を選ぶということが行われていました。

 しかし、連邦軍とて防諜活動をまったく行っていないわけではなく、長い間ジオン側から見れば、ジャブローはなかなか内実を知り得ない幻の場所でした。ジオン側がジャブロー内部を把握することに成功したのは、シャア・アズナブルによる海からの侵入成功によってであり、それですら、全貌を把握するには程遠い状況でした。

 そのことから考えれば、連邦軍の防諜能力は連邦軍自身が思っていたよりも強力であり、存在しないスパイという幻を恐れていただけと言えるかも知れません。

 逆に、エルラン中将のように金と女で籠絡されてジオンのスパイとなった高級軍人を経由して流出した軍事機密は多く、たとえ僻地で開発しようとジャブローに書類があれば、情報の漏洩は避けられないものでした。

 つまり、僻地で秘密兵器を開発、実験する意味はあまりなかったと言えるでしょう。むしろ、僻地での開発、実験は様々な問題を生む温床にしかなっていなかったと言えます。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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