2002年04月30日
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宇宙世紀の駄ッ作機 MSM-07 ズゴック

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 モビルスーツ開発に才能を発揮したある技術者がいました。彼はMS-06の開発を手助けしたあと、MS-07の開発チーフに抜擢され、存分に才能を発揮しました。

 技術者はMS-07の開発成功に手応えを感じましたが、それで終わりだとは思っていませんでした。MS-07は驚くべき高性能を発揮したものの、実用面ではまだまだ解決すべき問題を持っていました。生産しやすさや、メンテナンス性の向上、そしてMS-07を実際に地上で稼働させたデータをフィードバックした改善など、究極の地上専用モビルスーツにはまだやるべき事が多々残されていました。

 当然、MS-07の次の機種を開発する仕事がまわってくるものと技術者は思っていましたが、そうではありませんでした。地上戦は、MS-09を主力にすることは確定事項であり、それ以外に強力な地上専用モビルスーツは必要とされていなかったのです。

 しかし、技術者は、MS-09の開発に不吉なものを感じていました。何しろ、画期的な新しい技術を注ぎ込んだ機体ですから、全てがもくろみ通りに稼働するかどうか分かりません。そのようなハイリスクな機体を、完成する前から主力にすると決めつけるのはあまりに危険すぎると技術者は思いました。

 とはいえ、技術者は設計すべき機体がなく、退屈な日々を送ることになりました。

 そんなとき、彼に声が掛かりました。水陸両用モビルスーツを設計してみないかというのです。さっそく彼は、会社を移って、新しい水陸両用モビルスーツの開発に取りかかりました。彼に与えられたテーマは、水中性能よりも、地上での格闘性能に重点を置いたモビルスーツでした。

 しかし、彼は別のことを考えていました。彼はMS-09が失敗することを半ば予見していました。そこで、MS-09がずっこけたばあいでも、即座にその代わりに量産できる地上専用モビルスーツとしても運用できるよう、設計を開始しました。

 この水陸両用モビルスーツは驚くほどの素早さで完成し、MSM-07ズゴックと名付けられました。しかし、このネーミングはいかにも不透明なもので、急上昇するゴッグ(Zoom Gog)の略だと言われますが、そうすると、語尾の濁点の有無が統一されていないのが不自然です。(ズゴッ「ク」、ゴッ「グ」)

 これは、あまりに他種類の水陸両用モビルスーツが平行して開発されたために、事務関係者が間違えたという説が正しそうに思えます。しかし、ズゴック関係者にとっては、いきなりの酷い仕打ちと言えました。

 ズゴックのテストには、赤い彗星のシャア・アズナブルも参加する充実したものした。そこでズゴックの格闘性能は極めて優秀であることが明らかになりました。特に、シャア・アズナブルは、ズゴックに惚れ込み、地上で自分が乗る機体はこれしかないとまで言い切りました。また、これなら連邦の白いモビルスーツと戦えるとも言いました。一方、シャア・アズナブルはMS-09にも試乗していますが、これについては特にコメントを残していません。プライベートな場では、シャア・アズナブルは、MS-09のことを「パワーはあるが小回りが利かない」と酷評し、一方でズゴックを「きびきびと良く動いて切れ味がいい」と持ち上げていたといいます。

 ズゴックのテスト結果は、地上専用モビルスーツとしては極めて優秀であると判定され、一部でズゴックに惚れ込むパイロット達を生み出しました。彼らは、MS-09に代わってズゴックの量産を進言しました。

 しかし、これはまったく予想外の事態により、却下されました。キシリア・ザビは全ての水陸両用モビルスーツは、彼女の扱う諜報、工作活動に使われるものと決定し、一般作戦での使用を全て禁止してしまったのです。

 その結果、秘密部隊に所属していたシャア・アズナブルは期待通りに自分専用にチューニングしたズゴックを手に入れましたが、多くのズゴックフリークは、ズゴックを操縦することを許されず、悶々とする日々を送ることになりました。

 その間にも、MS-09は次々と問題を起こしていました。大は交戦中にスカートにヒビが入って、機体があらぬ方向にすっ飛ばされて大破したとか。小はMS-09を満足に整備できるベテラン整備兵が足りなくて、機体はあるのに全機出撃できないとか。

 こんなときにズゴックがあれば……、と思うパイロット達は、軍事機密のために、それを口にすることも許されませんでした。

 つづきます。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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