2002年05月01日
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宇宙世紀の駄ッ作機 MSM-07 ズゴック(続き)

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 卓越した格闘戦能力を与えられたMSM-07は、デビュー早々、その能力を封じされてしまいました。水陸両用モビルスーツは、諜報活動や破壊工作などに投入されることが、キシリア・ザビより厳命されると、当然のように、生産されたMSM-07はそういう任務を与えられた部隊に配属されました。

 しかし、そこでの評判は芳しいものではありませんでした。MSM-03ゴッグに比べれば水中の巡航速度が劣るため、連邦軍の勢力下に深く侵入するには物足りなく、かといって、MSM-04アッガイのように隠密性に優れているわけでもありません。

 もし、海から上陸して連邦の軍事拠点を強襲するような使い方が行われていれば、MSM-07の長所も発揮できたでしょう。しかし、工作部隊にあっては、敵の目の前に堂々と上陸するような作戦は、あるはずのないものでした。敵が気付かないうちに上陸して破壊工作を行うことこそが、彼らの仕事だったのです。敵に存在が知られることは、作戦失敗とイコールでした。もし、敵のモビルスーツが出てきたら、交戦せずすぐに撤退するの常識だったのです。

 そんな中で、唯一、MSM-07を正しく使いこなしたのが、シャア・アズナブルでした。シャアは、MSM-04からなる隠密工作部隊を、MSM-07で護衛するという部隊編成を行い、自らMSM-07に搭乗して出撃しました。この部隊編成の正しさは、ジャブロー侵入成功という形で証明されました。ズゴックは、ジャブロー内で出てきたモビルスーツ群を圧倒的な力で蹴散らし、長年ジオン軍が知りたいと望み続けていたジャブロー内部の情報を獲得することに成功したのです。

 もっとも、この作戦では、ジャブロー内部の破壊工作は失敗しており、その点で問題無しとは言えないものでした。これは、破壊工作は少数のモビルスーツで行うという先入観が成功の邪魔になったと言えます。あの巨大なジャブローを攪乱するには、相当な数のモビルスーツを潜入させる必要があったはずが、シャア・アズナブル配下にはそれを満たすだけの数が無く、失敗作として埃をかぶっていた支援用水陸両用モビルスーツMSM-10ゾックまで持ち出しましたが、それも焼け石に水でした。

 そして、この作戦で見せた圧倒的なMSM-07の格闘戦能力がジオン軍内で注目されることはありませんでした。ジオン地上軍の最後の力を振り絞ったジャブロー攻撃の痛手は大きく、そのような情報に気を配る者はほとんどいませんでした。また、その成果を上げたシャア・アズナブル自身、興味の対象は宇宙に上がっていくホワイトベース隊に向けられており、MSM-07の格闘戦能力の高さをアピールするようなことはしないまま、ザンジバルに乗り込んで宇宙に上がってしまいました。

 やがて、水陸両用モビルスーツの一般作戦への利用が解禁されました。これでズゴックの真価が発揮できるかと思いきや。次にキシリア・ザビが熱中したのはヨーロッパからジャブローに向かう輸送船の攻撃でした。しかし、水中から水上艦船を攻撃することは、格闘戦重視のズゴック向きの任務ではありませんでした。輸送船の船底を切り裂いていると、凶悪な対潜装備を山ほど積んだ護衛艦に取り囲まれ、脱出不能になるのがオチでした。もちろん、ズゴックの性能をもってすれば、護衛艦を血祭りに上げることなど造作もないことでしたが、護衛艦と戦うということは、逃げ道を塞ぐ時間を連邦軍に与えることとイコールでした。

 そんな状況が続いていましたが、ある日、お茶を飲みながらキシリア・ザビがふと思い出したようにシャア・アズナブルに漏らしました。

 シャア、おまえのお気に入りのズゴックが最前線では不評で、戦果も多くない。何か意見はあるか?と。

 そこで、シャアがズゴックは対モビルスーツの格闘戦で使えば地上最強でしょう、と答えました。

 これにより、ズゴックはようやく地上における格闘戦に投入される自由を得ました。

 アフリカ戦線では、ナイル川周辺で少数のズゴックからなる部隊が、長期間にわたって連邦軍を悩まし続けました。10機にも満たない小部隊でありながら、数倍にも上る機数のGMを撃破したという驚くべき戦果も上げています。しかし、もともと最前線で数を揃えて使う計画がなかったため、ズゴックは生産数がそれほど多くなく、増産しようにもすぐに水陸両用モビルスーツを生産できる製造ラインも乏しく、終戦までに十分な数のズゴックが生産されたとは言い難い状況でした。

 そのため、マイナスイメージばかりが結果的に残り、多くのジオン軍将兵からは、ズゴックは駄作機の印象が強く残る結果となりました。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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