2002年05月03日
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宇宙世紀の駄ッ作機 MSM-10 ゾック(続き)

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 何はともあれ、砲口が2つあるビーム砲が役に立つことを実証しなければなりませんでした。そこで、試作に失敗した大型水陸両用モビルスーツのフレームに2砲口ビーム砲を取り付けた、実証試験機が製作されました。これは、左右に2砲口ビーム砲を1基持ち、計4個の砲口を持つものでした。流用したフレームの構造上、人型で足のある姿をしていました。もちろん、これはあり合わせの材料で作った実験台に過ぎず、本命の上陸支援機に歩行可能な足をつける予定はありませんでした。企業間のいざこざのため、人型ではない兵器を製造できない制約があったため、形ばかりの足を付ける計画はありましたが、それは上陸して歩行可能という意味ではありませんでした。

 さて、実証試験機は大成功でした。長時間に渡って、連続して砲撃することが可能であることが実証され、少数の機体でも、火力で敵を圧倒することが可能であることが分かりました。まさにジオンの誇るべき卓越した科学力のなせる技と絶賛され、ジオン地球軍の偉い人をずらりと並べて、砲撃のデモンストレーションまで行われました。そして、現在開発中の量産タイプは、この倍の数のビーム砲を搭載予定ですと説明すると、偉い人はおお喜びでした。

 そのことに開発関係者は得意げでしたが、既にそこで破滅の足音が迫っていたのです。

 実証試験機は地上で整備され、歩いて海に入って砲撃デモンストレーションを行い、そして歩いて整備上まで戻ってきました。多数の偉い人は、開発中の量産タイプも、当然足で歩いて上陸して、陸上でも支援火力として使えるものだと思い込んでしまったのです。

 やがて、ビーム砲4基8門を搭載する量産タイプの試作機が完成しました。あちこちの部隊がこれに興味を持ち、テストするからうちの部隊に寄こせと言ってきました。

 ところが、それらの部隊の大半は上陸任務を行わない純粋な地上戦部隊だったのです。おそるおそる何に使うのかと問い合わせてみると、彼らはその試作機が陸上を歩ける足を持っていると思い込んでいたのです。

 このギャップが知れ渡ると、ジオン地球軍は大騒ぎになりました。最強の火力支援兵器が開発されたと思い、誰もがそれに期待していたのです。しかし、それが上陸作戦を支援することだけを想定し、海からの砲撃しかできない兵器だと言われても、すぐに誰もが納得できることではありませんでした。

 足を付けろ!の大合唱がジオン地球軍内でわき起こりました。

 驚いたのは開発関係者です。これだけの重武装が可能なのも、浮力で機体を支えるためで、もし足で支えようと思ったら、もっと機体を軽くしなければなりません。いくら脚部を強化しても、地盤が柔らかければ、足が地面にめり込んでしまいます。

 そこで、武装の軽減を提案したところ、即座に却下されました。大火力がすぐにでも必要だというのです。

 やむを得ず、設計変更が行われました。足を持つ普通の水陸両用モビルスーツとなったのです。それだけでは済まず、水中航行時に艦船攻撃に適した位置にビーム砲がないという苦情まで来て、頭部に砲口を1つ増設して更に重くなりました。

 ようやく誰もが満足する機体が仕上がり、MSM-10ゾックと名付けられました。ゾックとは、Zone Of Controlの略で、大火力で特定の地域の敵の動きを封じてしまうという意味を持っていました。

 しかし、できあがったゾックは、陸上では極めて動きが鈍く、地盤がしっかりした平坦な場所で時速10km程度がやっと。それどころか、地盤が少しでも弱いと、足が地面にめり込んだり、バランスを崩して転倒する危険さえありました。

 とはいえ、開発関係者達は、そのことを重大な問題とは見なしていませんでした。なぜなら、ゾックはあくまで上陸支援用に開発された機体であって、その任務で十分に働けばそれで良いと考えていたのです。

 ところが、ゾックが完成したとき、既にキシリア・ザビは全ての水陸両用モビルスーツを諜報や工作に使うと宣言していました。つまり、水陸両用モビルスーツに与えられた任務は、こっそりと夜陰に紛れて上陸することであって、敵前強襲上陸のような派手な仕事は与えられないことになってしまったのです。さすがにゾックのような大火力で派手に支援する兵器は、使いどころがありません。その上、陸上で使おうにも、この重さでは実用性がありません。

 ゾック欠陥品説がジオン地球軍内を駆けめぐりました。

 続きます。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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