2002年05月12日
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宇宙世紀の駄ッ作機 チベ級長距離巡航宇宙艦(続きの続きの続きの続きの続きの続き)

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 木星視察団事件とジオン・ダイクン暗殺事件という2つの出来事を契機として、地球連邦とジオン公国は、大軍拡時代に突入しました。

 連邦軍はマゼラン級の大艦隊を誇示し、ジオン公国はグワジン級の卓越した性能を誇りました。

 しかし、大方の予想を裏切って、ジオン軍で実際に活動する主戦力となったのは、グワジン級ではなく、チベ級でした。グワジン級は切り札であって、おいそれとは動かせないというのがジオン公国上層部の考え方で、一般の作戦はチベ級でも十分であるとされていました。もちろん、万一、連邦軍がマゼラン級を並べてジオン公国に進撃してきた場合に備えるために、グワジン級を遙か遠くの小惑星帯になど、派遣するわけにはいかないという事情もありました。

 8隻に増強されたチベ級は、順次ローテーションを組みながら小惑星帯に派遣され、海賊を威圧しました。しかし、ジオン公国は1つのジレンマに悩み始めました。8隻のチベ級を持ちながら、常時小惑星帯に存在するのは最大で2隻程度。残りは、往路か復路にあるか、本国で整備中でした。戦力の少ないジオン公国としては、このような運用は避けられるものなら避けたいところでした。

 その結果、小惑星帯に本格的な軍事拠点が欲しい、という欲求が徐々に高まっていきました。艦艇の整備や、乗組員の休養ができる設備が小惑星帯にあれば、もっと無駄を減らせるはずだと考えられたのです。

 そこで、計画されたのが、アクシズ攻略戦です。海賊達が集まる最大の拠点となっている小惑星アクシズを攻略し、ジオン公国の軍事拠点にしてしまおうというわけです。

 アクシズは、自立した環境システムを持っており、長期間独力で活動する能力がありました。これが使えれば、ジオン公国としては、小惑星帯での活動が楽になります。

 長い検討期間を経て、ジオン軍は、貴重なグワジン級1隻と、チベ級4隻アクシズに向かわせました。

 この戦いでは、グワジン級が失われることを恐れた指揮官が、チベ級だけを戦闘に投入したため、事実上チベ級による戦いでした。しかし、勇猛なジオン兵と、確かな基本設計を持つチベ級は、海賊の根拠地を相手に大健闘し、激戦の末にアクシズを陥落させました。

 この戦いは、チベ級に乗り組むジオン兵達に、再び大きな自信を与えました。

 しかし、皮肉にも、アクシズ攻略はチベ級の最後の花道となりました。

 ジオン公国では、モビルスーツの開発に成功したのです。

 この画期的な兵器は、本来、国力の劣るジオン公国が、圧倒的多数のマゼラン級にうち勝つために開発されたものでした。しかし、マゼラン級を一気に時代遅れにする兵器の出現は、マゼラン出現の切っ掛けとなったチベ級をも、同時に時代遅れとしたのでした。

 チベ級は、モビルスーツ運用能力を持つムサイ級が就役するにつれて、徐々に長距離巡航宇宙艦としての艦籍を抜かれました。そして、海防艦扱いとなり、長距離航行用の装備が外された上で、ジオン本国や、アクシズ周辺の警戒部隊に配属されました。

 しかし、ジオン公国が地球連邦への宣戦布告を決意した後、戦力不足を少しでも補うために、チベ級も第一線の戦闘艦に復帰させることが決定されました。モビルスーツ搭載能力を与える大改装が行われ、その時点でジオン軍が所有していた7隻のチベ級は順次、重巡洋艦扱いで復帰していきました。

 しかし、もともとモビルスーツ搭載を前提とした設計ではないため、モビルスーツ格納庫がいくつもの小さな区画に分断される構造となり、使い勝手が悪く、あまり歓迎はされませんでした。

 ですがチベ級を好む者達もいました。長距離航海を前提にしたチベ級は、ぎりぎりまで切りつめたムサイ級と比べて極めて居住性に優れていました。たとえば、厨房設備はチベ級の方がムサイ級より3倍も大きく、ムサイ級には存在しないレクレーション施設も設置されていました。このような特徴から、戦いのために生活を犠牲にすることを好まない指揮官からはチベ級は好まれており、いくつかの艦隊でチベ級が旗艦を務めた事例があります。また、実際に乗り組んでいる水兵達も、たとえ乗る前に「あんな旧式艦」と不平を述べても、降りるときは誰もが残念そうな顔をすると言われていました。

 1年戦争終戦時には、3隻のチベ級が残存していましたが、うち2隻は損傷が激しく、修理されることなく解体されました。状態の良い1隻は、武装を取り外した後に、地球連邦宇宙科学局の太陽観測船『サンシャイン7号』として、約30年の間使用され、多くの太陽観測情報を宇宙を航行する船舶に提供し続けました。その後、約15年に渡り、宇宙科学記念館に展示されていましたが、痛みが激しくなり、解体を余儀なくされました。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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