2002年05月16日
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宇宙世紀の駄ッ作機 サラミス級多目的巡洋艦(続きの続きの続き)

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 1年戦争前半、サラミスは連邦宇宙軍の生命線だったと言っても過言ではありません。特に、唯一残された連邦軍の宇宙における根拠地、ルナツーは、サラミスが無ければ生き延びられなかったと言えます。

 1年戦争の序盤の戦いで連邦宇宙軍は、事実上、正面切ってジオン艦隊を渡り合うための力を失いました。その結果、制宙権はジオンががっちりと握り、連邦艦隊はジオン艦隊の動向を伺いながらでなければ行動できない状態になりました。とはいえ、幸いにもジオン軍は手持ちの艦艇が少なく、じっくり時を待てば隙も見つかりました。

 しかし、いつでもじっくり隙を待てるわけではありませんでした。緊急の物資輸送や、病人の輸送など、いくらでも待ったなしの状況というものがありました。また、長期間、ジオンが隙を見せない場合は、物資の備蓄が欠乏する可能性もありました。

 そういう場合には、ルナツーよりサラミスを発進させ、高加速で地球に向かい、そこで地球上からのシャトルを収容、あるいは、地球に降りるシャトルを発進させ、そのまま地球の回転を利用して加速を付けて戻ってくるということが行われました。このようなサラミスの活躍が無ければ、ルナツーは、1年戦争の全般に渡って、ジオン軍を牽制し続けることはできなかったでしょう。

 また、各所で反ジオン活動を行うゲリラを支援するために、宇宙のあちこちを駆け回ったのもサラミスでした。それらのゲリラに悩まされたジオン軍は、エースパイロットの赤い彗星のシャアまでゲリラ掃討戦に投入せざるを得なくなりました。それは裏を返せば、ジオン軍がルナツーを攻めるために戦力を結集させることを妨害する効果がありました。その意味でも、サラミスは大きな活躍を見せたと言えます。

 そのほかに、ジオン軍に心理的な大きなプレッシャーを与えた事件がありました。ジオン本国砲撃事件と呼ばれる事件は、暗く沈みがちな連邦軍のムードを鼓舞するために計画されたものでした。25隻のサラミスからなる艦隊が、地球から遙か遠い場所から加速しながらジオン本国の至近距離をすり抜けつつ砲撃するという計画内容でした。蜂の一刺しということで、ホーネット部隊と命名された艦隊は、サラミスB型が25隻で編成されているということで、B-25の秘匿名称で呼称されました。しかし、B-25によるジオン本土砲撃は実質的にはほどんとダメージを与えられませんでした。サラミス自身の砲撃力がそれほど大きいものではないというだけでなく、高速で通過しながらほとんど照準もなく撃ちまくっただけという状況だったので、ほとんど命中弾はありませんでした。

 しかし、その攻撃を迎えたジオン側も万全ではありませんでした。ジオンの本土防衛隊には、少数のMS-05旧ザクがあるだけで、しかも即時出動可能ではなかったため、B-25を阻止することができませんでした。

 この攻撃が連邦軍に与えた好ましい影響と、ジオン軍に与えた狼狽は、両者の精神面でのバランスを変えるきっかけとなりました。

 連邦軍は、けしてジオンに負けたままではないという自信を持ちました。そして、じっくり粘って勝利をもぎ取ろうという強い決意を得ることができました。

 一方の、ジオン軍の方は、戦争序盤の先勝ムードが吹き飛びました。デギン公王が訪問していたコロニーのわずか100メートル脇を砲弾が通過したということは、「万が一のことがあれば」と多くの関係者をヒヤッとさせました。ドズル・ザビは、ジオン本国も全面的に軍事的に防衛する必要があると強く訴え、それは多くの支持を得ました。ドズル・ザビは、まず1,2発食らっても構造が崩壊しないようにコロニーの補強から始めるように主張しました。

 その意見に反対する者は誰もいませんでした。しかし、ドズル・ザビが宇宙要塞ソロモンに帰った後、実際に補強工事の予算をどこから調達するかという段階に入ると、急に構想は足踏み状態に陥りました。誰も、自分の分の予算を割こうとはしなかったのです。

 その結果、ガルマ・ザビの葬儀のために再びドズル・ザビがジオン本国に戻ったとき、「半年前の何も変わっていない」と落胆することになったのです。

 その他に、あまりニュースにならないサラミスの活躍がありました。ジオン本国から宇宙要塞ソロモンなどの拠点への定期的な物資補給は、あらかじめスケジュールが予測しやすいものでした。そして、ルナツーから攻撃しやすいタイミングと軌道で輸送行われると予測されるとき、サラミス級を出撃させ、輸送船攻撃を行いました。艦艇不足に悩むジオン軍は輸送船に十分な戦闘艦の護衛を付けることができず、ジオンに取って貴重な多くの物資が失われました。その結果、輸送船側が自衛のために旧型のモビルスーツを搭載することも行われるようになりましたが、マシンガンやバズーカなどの武装までは手が回らず、体当たりも同然の戦い方でサラミスに対抗する事例も見られるほどでした。

 続きます。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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