2002年05月20日
トーノZEROアニメ感想機動戦士ガンダムtotal 11376 count

宇宙世紀の駄ッ作機 グワジン級超々弩級戦列艦

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 チベ級の大成功によって、サイド3内での軍艦の独自建造への注目が高まりました。その多くは、野次馬的な興味でしたが、一部は極めてビジネス的な興味を抱きました。

 軍艦を建造することは金になる。そう思ったサイド3内の資本家が集まって、軍艦建造を請け負う企業連合体を作り、サイド3自治政府への売り込みを図りました。しかし、タイミングが遅く、既に8隻のチベ級は発注済みで、今更他の企業連合に発注する見込みはありませんでした。

 しかし、企業連合としては、ここまで金と労力を注ぎ込んだ以上、それで終わりとすることはできませんでした。元を取るまではやめられません。そのとき、ちょうど連邦軍も新型艦を建造するという噂も流れて来ました。それに対抗するために、チベより強力な新しい艦を建造する可能性は大きいと考えられたので、それを是非とも企業連合に発注させるべく、更なる営業活動が続きました。

 そして、連邦がチベ対抗策として公開したマゼラン級構想をきっかけとした一連の騒動により、サイド3は、マゼランに勝てる艦を建造しなければならない状況に追い込まれました。

 そこで、サイド3独立警備隊としては、チベ級で実績ある建造メーカー群にプラン作成を依頼しました。現場レベでは、くそ真面目に政治家の公約を守って、マゼラン級よりも大きく強力な艦を建造することは非現実的だと考えられていました。それよりも、マゼランを沈める手段があればそれで良しと考えていました。

 しかし、企業連合は、これをチャンスと見ました。さっそく、政府関係者に賄賂をばらまいて、自分たちにもプランを出させろという要求を飲ませ、2つのプランのコンペという形に変更させました。

 チベ級を設計した技術者が提案したのは、マゼランを沈めることにのみ目的を絞った艦(スーパーチベ級)でした。チベ級よりやや大きな船体に、重装甲と大火力を装備し、そのかわり、居住性や長距離航行能力を犠牲にしたものでした。大きさはマゼランより小さく、構造の半分以上が成功したチベ級の設計を引き継いだものでした。エンジンも、チベ級に搭載されたサイド3で製造可能な最大級のものを搭載していました。

 これに対して、企業連合の提案したプラン(G級)は、マゼランより大きく、マゼランより強力な火砲を持ち、マゼランより分厚い装甲を持っていました。更に、チベ級並みに木星への往復能力と、要人にホテル並みの贅沢な住環境を提供するだけの居住性も備えていました。当然のことながら、これだけの艦を動かすには、普通のエンジンで足りるわけがありません。このプランでは、サイド3で作られたことがないどころか、連邦ですら実験レベルでしか作られたことがないほどの大型エンジンを搭載することになっていました。

 この大型エンジンは、今のサイド3の技術力では無理だ、というのが技術者の一致した見解でしたが、企業連合の船舶エンジンメーカーの社長は、作れると太鼓判を押しました。専門メーカーの社長ができるというのなら、できるのだろうと、自治政府関係者は信じました。それは無理だという一般技術者の意見は、チャレンジ精神の欠如として却下されました。

 サイド3独立警備隊関係者は、本当に作れるかどうか分からないエンジンに賭けることはリスクが大きいとして、スーパーチベ級のプランを支持しました。

 しかし、自治政府関係者は、サイド3住民に対して約束したマゼランを上回る宇宙艦の建造という公約を果たすには、G級のプランを選ぶしかないと結論しました。

 こうして、正式に、G級を設計と建造に関する予算が決定され、発注が行われました。

 G級は、サイド3住民へのアピールの必要性から、早々にグワジン級超々弩級戦列艦という名前が与えられました。もっとも、この名前にどれほどの意味があるかというと、何となく強そうという以上の意味はありませんでした。

 本来、弩(ド)級とは、イギリスが1905年の進水させた画期的な水上戦艦ドレッドノートに由来するものです。ドレッドノートとと同程度の戦艦が弩級と呼ばれ、これを上回る規模のものが超弩級と呼称されていました。つまり、弩級とは、20世紀の水上戦艦の基準尺度でしかなく、そのまま宇宙戦艦に適用できるようなものではありませんでした。そのような名前に更に超を付けて超々弩級と称したことには、具体的な中身は何もなく、ただ単に強そうな印象を与えるという以外の効能はありませんでした。更にその後に続く、戦列艦という言葉は、帆船時代に使用された言葉であり、宇宙艦に適用できるものではありません。しかし、マゼランが戦艦と呼ばれたことに対抗して、何かマゼランより凄いカテゴリーであるかのように思わせるために、あえて戦艦よりも1文字多い戦列艦と呼称したのでした。

 ともかく、グワジンの建造は開始されました。

 続きます。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

Facebook

キーワード【 トーノZEROアニメ感想機動戦士ガンダム
【機動戦士ガンダム】の次のコンテンツ
2002年
05月
21日
宇宙世紀の駄ッ作機 グワジン級超々弩級戦列艦(続き)
3days 0 count
total 5665 count
【機動戦士ガンダム】の前のコンテンツ
2002年
05月
19日
宇宙世紀の駄ッ作機 サラミス級多目的巡洋艦(続きの続きの続きの続きの続きの続き)
3days 0 count
total 18986 count

このコンテンツを書いたトーノZEROへメッセージを送る

[メッセージ送信フォームを利用する]

メッセージ送信フォームを利用することで、トーノZEROに対してメッセージを送ることができます。

この機能は、100%確実にトーノZEROへメッセージを伝達するものではなく、また、確実にトーノZEROよりの返事を得られるものではないことにご注意ください。

このコンテンツへトラックバックするためのURL

http://mag.autumn.org/tb.aspx/20020520194459
サイトの表紙【機動戦士ガンダム】の表紙【機動戦士ガンダム】のコンテンツ全リスト 【機動戦士ガンダム】の入手全リスト 【機動戦士ガンダム】のRSS1.0形式の情報このサイトの全キーワードリスト 印刷用ページ

管理者: トーノZERO連絡先

Powered by MagSite2 Version 0.36 (Alpha-Test) Copyright (c) 2004-2021 Pie Dey.Co.,Ltd.