2002年05月23日
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宇宙世紀の駄ッ作機 グワジン級超々弩級戦列艦(続きの続きの続き)

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 ドック内で、グワジン級は仕上げの段階に入っていました。別の工場で組み立てられた砲塔、エンジンなどが運び込まれ、据え付けられました。また、内部艤装として、電気系統や、空気循環システム、厨房と大冷蔵庫、将官用居住施設には高価な応接セットなどが次々と据え付けられていきました。

 この段階になると、実際にこれらの装備を使うジオン軍の軍艦乗り達も入ってきて、最終艤装を手伝いながら、艦の扱いに習熟すべく走り回るようになりました。

 慣習的に就役後は艦長に任命される艤装長は、率先して完成した艦長室に住み込んで、昼夜を問わず作業の指揮を執りました。

 関係者が細心の注意を払い、二重三重の確認と安全策を採ったために、大きな問題はもはや発生しませんでした。各方面の努力により、スケジュールは予定を前倒しできたほどでした。もっとも、今頃になって、数日を節約できたところで、2年に渡るスケジュール超過を解消するには程遠いものでしたが、関係者の士気は高まりました。

 そして、ついに全ての組立作業工程が完了する日が訪れました。建造作業に残されたのは、実際に宇宙に引き出しての航行試験のみでした。

 本来、それは派手な式典になるようなものではありませんでした。普通は、軍への引き渡しの式典を派手にやるのがサイド3での通例で、そこに政府の高官がずらりと並ぶ姿がよく見られました。

 しかし、今回は状況が違っていました。これほど待たされた政府関係者は、早く、グワジン級が航行する姿を見たかったのです。

 豪華客船がチャーターされ、多数の来賓を乗せて、ドックの脇に陣取りました。グワジン級は自分が作ったも同然だという自負を持つ偉い人達が、展望室から見守る中、タグボートに引かれて、グワジン級がドックの中からゆっくりと引き出されました。タグボートを使ったのは、万一、エンジンの制御系に問題があって、バランスを欠いた推力が掛かった場合、ドックに激突する危険があるためでした。ドックから引き出すまではエンジンを点火しないものと定められていたのです。

 しかし、前例がない巨体ですから、引き出すだけでも時間が掛かります。偉い人たちは、待ちくたびれてイライラしました。

 そして、次は小型艇を用いて、外部から艦体に問題がないか最終確認が行われました。これも、非常に時間が掛かる作業で、偉い人のイライラは最高レベルに達しました。

 それが終わってから、やっとエンジン点火の命令が下されました。

 徹底的にじらされた偉い人達も、展望室の窓に釘付けになりました。

 カウントダウンがゼロを告げた瞬間に、グワジンの艦尾から、とびきり派手な炎が真後ろに向かって吹き出したかと思うと、ふっと消え、そして、黒い煙がもくもくと広がり、拡散していきました。

 誰もが、それを唖然として見つめていました。

 「これは、何のデモンストレーションかね?」とか、「いつになったらエンジンを噴射するのかね?」と質問する来賓もいましたが、解説担当の軍人も何も知らされていませんでした。

 結局、30分も待たされてから、「エンジン故障に付き、航行試験は延期」という決定が伝えられると偉い人たちは、驚き、怒り、そして祝宴用の酒を飲み始めました。

 飲んではいられなかったのが、乗り組んでいた機関員と、エンジンの据え付けに携わった技師でした。

 エンジン工場での試験では確かに稼働していたはずのエンジンです。確かに開発段階では、様々なトラブルがあったものの、稼働するようになってから引き渡されたはずでした。

 それが動作しないとなれば、まず考えられるのは、据え付け手順に何か間違いがあるか、整備手順を間違えたことです。必死になって、彼らは調べましたが、三日三晩やって、間違いは見つけられませんでした。

 エンジンを製造したメーカーからエンジニアを呼んで、調べてもらいましたが、やはり原因が分かりませんでした。それどころか、エンジニアは平然と、こんな大きなエンジンを作ることなど無理だったんです、と言い放ったのです。

 これには関係者が騒然となりました。もともと、そのメーカーの社長が絶対に作れると太鼓判を押したからグワジン級の建造が決まったようなものです。それなのに、そのメーカーの技術者がそのようなことを言うとは。

 続きます。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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