2002年06月05日
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宇宙世紀の駄ッ作機 AV-04S1 地上戦闘支援車ギャロップ(続きの続きの続き)

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 砲兵隊の砲弾も届かず、ドップによってがっちりと制空権を掌握された場所に鎮座したギャロップは次々とザクを整備し、連邦への攻勢の準備を進めていました。

 連邦軍は焦りました。こんな状況が続けば、かろうじて膠着状態に持ち込んでいる最前線が維持できなくなる可能性がありました。ともかく戦力を集中させて、ジオンの攻勢に備えるしか方法はありませんでした。せめて、ギャロップを破壊できればと、連邦軍は考えていましたが、妙案は浮かびませんでした。

 ところが、ある日、ある連邦軍の士官が、画期的なアイデアを思いつきました。ギャロップが邪魔なら、破壊しなくても無力化してしまえばいいじゃないか。彼はそう考えたのです。

 アジアのとある戦線で、そのアイデアは実行に移されました。ジオンの攻勢が始まると、連邦軍は損害を最小にするよう交戦しつつ後退したのです。

 後退した先は、巨大な岩が転がる荒れ地が広がる谷間でした。険しい地形でしたが、谷の中央に通る二車線道路を使えば、61式戦車を始めとする連邦軍の車両の移動に不自由はありませんでした。また、ジオン軍のザクも、手足のある人型の形状を活かし、この程度の凹凸は乗り越えて前進しました。その結果、そのまま最前線は谷の奥深くに移動しました。

 ところが、この動きに追従できない兵器がありました。それはギャロップです。ビルほどの巨大なホバー車両ですから、平坦な土地か、6車線の幹線道路が無ければ、移動することができません。巨大な岩が転がる荒れ地を、ギャロップは進むことができませんでした。

 最前線とギャロップとの距離が大きくなると、ザクの整備や修理がスムーズに行えなくなってきました。しかも、巨大な岩を乗り越えるため、ザクは関節に大きな負担を掛けており、故障率が激増していました。

 しかし、ジオン軍はさほどそれを問題視していませんでした。連邦軍が逃げ続けている以上、勝っているのはジオン軍のはずでした。ここで攻撃の手を緩めるのは、連邦軍に立ち直りのチャンスを与えるだけだという考えが支配的でした。そして、地図を見ながら、もうちょっと敵を後退させれば、谷を抜けて平地に出て、迂回路を移動して来たギャロップと合流できるはずだと考えました。それまでは、ザクの簡易整備キットで何とかしのげ、と命令が下されていました。

 しかし、全ては連邦軍の作戦でした。多数のザクが故障や整備不足で稼働できなくなったのを見定めて連邦軍は反撃に転じました。

 今度は、ジオン軍が後退を続ける羽目に陥りました。そして、ほぼ最初の位置で睨み合う形で、戦闘は終結しました。その位置まで戻れば、ギャロップの整備も受けられるし、ドップによる制空権も確固なものだったのです。

 この事件は、ジオン軍内に大きな衝撃を与えました。人型兵器ザクは、どんな地形にも対応でき、戦車が入り込めないような凹凸の激しい土地でも戦闘可能であるのが長所とされていました。しかし、整備を行う支援車両が入り込めない場所では、いくらザクが戦闘可能であっても、長期間戦闘を継続できないことは明らかでした。

 ジオン軍内では、ビルほどもある巨大なギャロップよりも、トラックやヘリで容易に輸送できるザク整備キットの充実の方が価値があるのではないかという、ギャロップ不要論が叫ばれるようになりました。

 一時は大々的に拡大されたギャロップの生産ラインは、今度は大幅に縮小されました。

 そのかわりに、ギャロップ並の整備が可能とされた本格的なザク整備キットが量産され、各部隊に送られました。

 ところが、このザク整備キットが最前線に混乱を引き起こしたのです。

 確かに、ギャロップで実施できる全ての整備項目を行うことはできました。しかし、専用整備ベッドやクレーンが完備されたギャロップと異なり、整備キットは全て整備兵が手動で行うことが前提でした。重いパーツを交換する際、ギャロップ内ならクレーンで釣ってすぐに行うことができましたが、整備キットのマニュアルは、20人の整備兵が同時に持ち上げて組み込む手順になっていました。しかし、最前線の整備兵は常に不足状態で、1台のザクあたり、多くてせいぜい5人程度の整備兵しか割り当てることができませんでした。それどころか、整備兵の人数があわせて20人を下回る部隊すらありました。

 ギャロップと入れ替わりに実情に即さない整備キットを送りつけられたモビルスーツ部隊は、次々と悲鳴を上げました。

 続きます。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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