2002年06月10日
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宇宙世紀の駄ッ作機 PSA-01 ミノフスキー粒子散布機(兼長距離偵察機)ルッグン(続きの続き)

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 航続距離がもっと欲しいなあ。そんなことを、ジオン地上軍の関係者が思いながらルッグンを見上げると、空っぽのまま使われていないミノフスキー粒子のタンクが目に入りました。これに燃料を詰め込めれば航続距離が2倍以上伸びるのに、と思った者は少なくありません。

 ところが、この子供っぽいアイデアを実際に実現してしまった部隊がありました。もともと作業用宇宙艇をチューンしてかっ飛ばしていた整備員達が揃っていた部隊で、不都合があれば自分たちの手で改造すれば良いという精神を信奉していました。

 ルッグンのうちの1機を、特別に部隊の司令官の許可をもらって改造し、ミノフスキー粒子タンクに燃料コックを取り付け、エンジンにつなぎました。

 濃縮ミノフスキー粒子とジェット燃料では比重が違うので、多少機体のバランスにも影響が出ましたが、そこは多少のバランスウェイトを付けることで解決できました。

 ついでに、ミノフスキー粒子はもう散布できないので、それに関連する装備を取り外し、その隙間を通して外が見えるように窓も増設しました。

 この改造ルッグンは、まさにジオン軍が必要としていた性能を発揮できました。長時間、じっくりと粘って滞空して、地上を監視し続けることも、改造ルッグンなら可能でした。これで連邦軍の不意打ちも警戒できると関係者は大喜びでした。さっそく、改造を行った整備員のところには、次々と同じ仕様で改造してくれという申し入れが殺到しました。

 この状況を、本国のジオン軍も無視できませんでした。最前線で改造されたこのルッグンにPSA-01Aというナンバーを後付で付けて承認しました。そして、設計図そのものに手を加えて、生産ラインの段階で同様の仕様にしたPSA-01Bも開発されました。PSA-01Bはコクピットの視界を広く取るために、コクピット周りの構造を大幅に変更していました。PSA-01Bは大成功を納め、まさにジオン軍の偵察機の定番としての地位を獲得しました。

 しかし、この状況は、ほとんど同じルッグンという機体に、ミノフスキー粒子型と、長距離偵察型の2タイプが存在して相互に融通できないということも意味しました。

 そこで、PSA-01Bをベースにどちらの任務にも対応できる機体として、PSA-01Cが開発されました。タンクはミノフスキー粒子と燃料の両用とされ、散布系と燃料系の2つの配管を備えていました。それと同時に、その時点で得ていた大気圏内航空機の様々なノウハウも注ぎ込まれ、機体としての洗練度も向上しました。速度や機動性も向上し、敵戦闘機に狙われた場合の生還率の向上も見込めました。更に、撃墜され脱出したパイロットを捜索する任務を想定して、非常物資を投下する機能なども備え、まさに最前線で必要とされるあらゆる機能を備えた最終決定版という機体となりました。

 そのころ、綱渡り的だったジオン占領地の維持が、ようやく安定的に行えるようになって来ましたが、PSA-01Cの量産開始が、その理由の1つであることは間違いありません。

 ジオン本国は、偵察機に関しては、十分に実現されたと考え、他の分野、特に水陸両用モビルスーツに神経を集中しました。

 しかし、PSA-01Cの成功は、破滅への序曲でもありました。我が物顔で飛び回るルッグンの対策を迫られた連邦軍は、ルッグンの哨戒コースを割り出すと、戦闘機による待ち伏せを行うようになりました。ですが、航続距離の短いドップでは、ルッグンの偵察や哨戒飛行を護衛することができません。ジオン軍は、すぐに単調な飛行計画を改め、乱数表を使った予測されにくい飛行計画に変更しました。その結果、ルッグンの損害は減少しましたが、以前のように完全な哨戒は不可能になりました。

 ジオン地上軍では、連邦の戦闘機よりも速い偵察機が必要だという意見を何度も具申しましたが、ジオン本国では他の兵器に気を取られ、なかなか高速偵察機の計画は実現しませんでした。

 最前線では、戦闘機を振り切るためのブースターをルッグンに装備するなど、様々な工夫が行われました。

 しかし、ミノフスキー粒子散布下での戦闘に、連邦軍が慣れるにつれ、ルッグンが安全に飛べる空はとんどん狭くなっていきました。各地の連邦軍に協力する民間監視員が双眼鏡を持って空を監視し、ルッグンを見つけると原始的な有線電話で通報しました。すると、即座に空中待機の戦闘機が飛んでいき、ルッグンを撃退するという状況に陥りました。

 それでも情報を必要とするジオン地上軍はルッグンを飛ばし続け、1年戦争終結時には、飛行可能なルッグンは数えるほどしか残っていなかったと言います。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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