2002年06月20日
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宇宙世紀の駄ッ作機 RB-79 ボール(続きの続きの続きの続き)

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 RB-79ボールは連邦軍にとって、重要な兵器というわけではありませんでした。あくまで連邦軍の本命はV作戦によって開発されるモビルスーツであって、ボールは時間稼ぎのために開発、投入される兵器に過ぎませんでした。もちろん、作った以上は、モビルスーツ量産開始後も使うつもりでしたが、あくまで戦場の主役はモビルスーツにする腹づもりでした。

 そんな連邦軍の考え方を深く心に刻み込んだエリート中のエリートの宇宙機乗りパイロット達が、各部隊から引き抜かれて一カ所に集められました。

 彼らは、いずれ、モビルスーツ部隊の中核として活躍することを期待されていた者達でした。

 しかし、いきなりモビルスーツに搭乗して戦果を出せと言うのも無理があります。そこで、まずはボールに乗って、AMBAC機動に慣れておく価値があると、軍の偉い人が思いついたのです。

 もちろん、そのことに問題はありませんでした。モビルスーツが完成するまで待たずにAMBAC機動に習熟することには、当のパイロットを含め、関係者に異議があろうはずもありませんでした。

 ところが、新編成のボール教育部隊に彼らが着任してみると、予想もしない状況が待ちかまえていました。

 エリートパイロット達は、当然、画期的な新兵器の使い方を説明するために、白衣を着た一流の技術者達が待ちかまえていると思っていました。

 ところが、実際に教官として彼らを待ちかまえていたのは、社会の最下層の肉体労働者達でした。彼らは、コロニー建設の現場で、作業機械を手足のごとく使いこなしてきた経歴の持ち主でした。作業機械のアームを振り回して姿勢を変えるなど、彼らにとっては、朝飯前でした。それどころか、作業機械を使った喧嘩すら、豊富な経験を持っていました。

 エリートパイロット達と、教官達は、まるで水と油でした。社会の一番上と一番下が直接対面したようなものでした。しかも、一番下の者達が教官として、社会の一番上の者達をしごいてテクニックを教える立場でした。

 ほとんど一瞬で、両者は反発しあい、喧嘩沙汰が日常的に起こるようになりました。

 その対立はどんどんエスカレートして行き、最後にはボール対セイバーフィッシュの果たし合いにまで発展しました。教官の操るボールに、エリートパイロットが操縦するセイバーフィッシュが負けるわけがないと挑発したのが直接的な原因でした。

 そこで、モビルスーツ搭載能力を付加された新型サラミスの試験航海に便乗して、それにボールとセイバーフィッシュを積み込み、ルナツーの目の届かないところで果たし合いを行って決着を付けようと言うのです。

 この勝負は、実はかなり微妙な内容を持っていました。もし、ザクと戦うのなら、大火力を持つボールが有利なのは明らかです。しかし、脆弱な装甲しか持たないボール相手なら、セイバーフィッシュの脆弱な火力でも十分に脅威になるのでした。

 さて、いざルナツーから遠く離れた場所で、それぞれ代表のパイロットが乗り込んだボールとセイバーフィッシュがサラミスから飛び出しました。

 そして、好奇心満々のギャラリーが見守る中、お互いに秘術を尽くした格闘戦が開始されました。

 ところが、誰もが予測しないことが発生しました。激しい機動を行うボールの頭上のビーム砲が、いきなりポッキリ折れてしまったのです。ビーム砲は、あらぬ方向に飛ばされて、宇宙の彼方に消えていきました。

 これは、ベテランの激しい機動にビーム砲のマウント部分が耐えられなかったためで、これ以後に生産されたボールはそこを補強することになりますが、それは先の話です。

 ビーム砲がポッキリ折れて無くなったボールと、セイバーフィッシュの前に、なんと予告も無しに1機のザクが出現しました。

 彼らは、連邦の新型巡洋艦の試験航海が行われるらしいと言う情報を掴んで、網を張っていた部隊の所属でした。

 いがみ合っていた教官達も、エリートパイロット達も焦りました。セイバーフィッシュではザクに太刀打ちできないし、かといってボールにはビーム砲がありません。サラミス自身も、いくら改良型とはいえ、モビルスーツ母艦としての機能を付けただけで、軽やかにザクを撃破する防御火力があるわけではありません。

 ザクはモノアイをキラリと光らせて、サラミスに向かって加速しました。

 続きます。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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