正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。
AHMR-15は無事にフラウ・ボゥ宅に到着し、多数のAHMR-14を発進させました。床下や屋根裏などに侵入したAHMR-14は高度な自律判断能力を発揮し、フラウ・ボゥの声紋を関知できる場所を求めて移動しました。更に、室内を観察できる隙間を探したり、隠れることができる障害物が多い場合、室内にまで侵入しました。
こうして、アムロ・レイは多数の音声や画像を入手することに成功しました。しかし、その多くは関係のない情報ばかりで、有意義なものは多くありませんでした。
アムロ・レイは、フラウ・ボゥの個室に関する位置情報を転送して、より高精度の情報収集を試みました。
そして、その中の1機がついにシャワールームに入り込む隙を発見し、フラウ・ボゥのシャワーシーンの撮影に成功しました。
まだ女性経験のないアムロ・レイにとって、これは強烈な体験となりました。しかし、まだ目覚めたとは言えないアムロ・レイは、こんなことは立派な人間のすることではないと、即座に画像ファイルを削除してしまいました。後年、アムロ・レイは、このことを何度も悔やんだといいます。
アムロ・レイは更にプログラムを修正して、エッチな画像には自動的にモザイク補正を掛けるようにし、着替え中の画像などもモザイク付きで送信されるようにしました。
そんな努力の甲斐があってか、徐々に本来の目的の情報も集まり始めました。そして、フラウ・ボゥがクマの縫いぐるみを気に入っていることや、ゲームで好きなキャラクターを選べる場合、クマのキャラクターを選んでいることが分かりました。
そうかクマなのか!
アムロ・レイはついに求めていたものを発見した気分でした。
AHMR-14による情報収集を継続しながら、アムロ・レイは、究極の小熊型ペットロボットAHMR-16の開発に取りかかります。
動物園に通って、クマの行動を綿密に記録し、それを再現するようなリアルシミュレーションプログラムも開発しました。
もうクマについて知らないことはないというぐらいクマに精通したアムロ・レイは、クマ・マニアの知り合いも増えて、サイド7では有名なクマ・マニアの仲間入りを果たしたのです。
こうして、AHMR-16の完成が近づいたとき。衝撃的な事件が起きます。
なんと、着替え中の下着姿のフラウ・ボゥによって、情報収集中のAHMR-14が発見されてしまったのです。
その事実を知ったとき、アムロ・レイは目の前が真っ暗になりました。いくら自分は見ていないと主張しても、ロボットを無断で女の子の部屋に入れて画像を転送させていたことは明らかです。変態の烙印を押され、もはやサイド7には住めなくなる。アムロ・レイはそう覚悟しました。
ところが、状況は思わぬ方向に展開しました。
AHMR-14を見たフラウ・ボゥは、「かわいい~~~~っ」と声を上げて抱きしめたのです。
丸いボディと小さな2つの目。伸縮する収納可能な手足。そして、物陰から恥ずかしげに覗く態度が、どうやら女の子の感情を刺激したようでした。
次の日、フラウ・ボゥは、AHMR-14を抱いてアムロ・レイの家を訪れました。そして、「この子、私にくれない?」とお願いポーズを取りました。
これはアムロ・レイにとって全く予想外のことでした。
「君はクマが好きだと思っていたんだけど……」と言うと、フラウ・ボゥは答えました。
「おばあちゃんからもらったテディベアは好きだけど、別にクマなら何でもいいってわけじゃないわ。でも、なんでそんなこと知ってるの?」
アムロ・レイは、完成間近だったAHMR-16の開発中止を決意しました。
「それはあげられないんだ」とアムロ・レイはAHMR-14を指さしました。「でも、そんなに気に入ったのなら、同じようなものを作ってあげるよ」
「きゃ~~~、嬉しい!」とフラウ・ボゥは喜びました。
アムロ・レイは、どうやら1年以上掛けてチャレンジした目標、つまりフラウ・ボゥを感心させることが、いともあっさり実現できそうであることに気付きました。
しかし、そこには大きな伏兵が待っていたのです。
続きます。
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