今日、お兄ちゃんとお散歩しているときに、本屋で偶然妙なムック本を見つけました。
双葉社MOOK グレートメカニック8
表紙は、ビームライフルを持った格好良いゲルググのイラストで、総力特集ソロモン攻略戦と書いてありました。
まあ、最近流行っているガンダム特集本だろうと軽く考えていたのですが。
ペラペラめくると、なぜか、ボトムズが。ガリアンが。メガゾーン23が。なんだこれは、ということで買ってみました。まだちょっとしか見ていませんが、これはヘンです。素晴らしく魅力的にヘンです。最近のガンダムブームの流れではなく、かつてファーストガンダム当時のブームのノリに近く、更にそれをある意味で乗り越えた境地にある本といえるかもしれません。
では具体的にどのへんが特徴なのか。
まず、地に足が付いた内容が特徴的だと言えます。あくまで現在の兵器、戦略、戦術の観点からガンダムを解釈しようとしていて、ガンダムワールドの中で閉じていないように読めます。その質には異論が有り得るでしょうが、ガンダムワールドの中に閉じていないのは良いことです。それは更なる発展の可能性を意味します。そして、現実をふまえた解釈は、価値観をガンダムオタク以外と共有できる可能性を与えます。
次に、GUNDAM OFFICIALSのようなオフィシャル設定が必ずしも使われておらず、自分で考えた内容が書かれている点が特徴的です。たとえば、GUNDAM OFFICIALSだと、ソロモン攻略戦に送られたGMは粗悪品のような書き方をされていますが、そういう設定は取り込まれていません。それよりも、フィルムから読みとれる情報に筋の通った解釈を与えようと言う態度が見えて、非常に好感が持てます。はっきり言って、くそ高いGUNDAM OFFICIALSより、はるかに面白いです。
それから、ガンダムという枠に収まっていないことが特徴と言えますね。ボトムズのATのファッティーの分析など、面白くてびっくりです。ちゃんと運用方法や構造を意識した筋の通った兵器としてのあり方を書いています。リアルのふりをした、似非リアルなロボット設定とはノリが違いますね。もっとも、避弾径始の話などは、どれほどの意味があるのか分かりませんが。それでも解釈しようという態度は立派です。
更に、本物の実在する工学的なロボットの記事や、第2次大戦の戦闘機の記事などが並んでいるのが素晴らしいところですね。ガンダムという世界に閉じこもろうとはせず、むしろ、実在の世界を通じてガンダムを解釈しようとする態度は、オフィシャルにも無い実に良い態度です。
そして、最後に行き着くのはロボットの自作記事です。と言っても、ガンダムのガレージキットの原型を作るという話ではなく、実際に行われているロボットのコンテストを前提としたロボットの製作記事です。つまり、「ああ、ガンダムはリアルで格好良いな」という幻想を抱いて終わりなのではなく、工学的見地から何かを現実世界で実現すべき方向性を持って、このムックは終わっているわけです。実に素晴らしいですね。これこそが真にリアルなロボットというべきでしょう。
全般的に見ると、今ひとつ甘い部分が存在するような気もしますが、それを差し引いても、今本当に読む価値があるほとんど唯一のガンダム本がこれなのかもしれません。少なくとも、ガンダムワールドに閉じこもったあらゆる本よりも、この本の方が価値があるような気がします。
たぶん、こういう態度はあまり評価されないと思いますが、と～のはこの本を作っている編集者やライターの皆さんを応援しています。
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