この本は、かなり前に買ったあと、鞄の中に常駐させて電車での移動中などに読むようにしていました。なので、読了までかなり時間が掛かりました。
網野善彦さんの本は、同じような話が繰り返されることがあって、「それなら読んだよ」と思うことがあって、そういう部分がこの本にもあります。ですが、そうではない面白い話題もあるので、読む価値はありました。
たとえば、こういうところ。
『そしてとくに西九州、済州島、全羅南道では、中世に「海夫」と言われた人々が、この交流をきわめて強力に推進し、かつそれを担っていたこと、その人々の足跡は日本列島の太平洋岸をこえて霞ヶ浦にまで及んでいたことを、ここでは確認し、さらに追求してみる必要があることを強調しておきたいと思います。』(314ページより引用)
このような記述が正しいかどうか私には判断するすべはありません。しかし、日本と朝鮮という国家の枠組み当てはまらない人々の集団があって、それが何かの活躍をしていたという示唆は、とてもドキドキさせられる何かを感じさせます。
というわけで、読んで良かったと思いました。