2003年08月29日
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モデルグラフィクス 10月号 大日本絵画

Written By: 川俣 晶連絡先

 買ったときには、少しだけ、特集の水陸両用モビルスーツのページが気になっていました。これは、ガンダムの水陸両用モビルスーツが気になったと言うよりも、そのページの醸し出すデザイン的な雰囲気は気になったといった方が良いかもしれません。しかし、私がガンダムネタで満足できる訳が無く……(以下略)

 しかし、買って損をしたと思ったかというとそうではなく。まず、丸山泰輔元海軍少尉インタビューが、なかなか読ませるものがありました。太平洋戦争のターニングポイントとなった現場にいた立場からの貴重な歴史的証言です。ミッドウェー海戦で最後まで残った日本海軍の空母飛竜の艦上攻撃機の搭乗員という視点から何が見えていたのか、興味深く読みました。でも、歴史的興味であって、模型的な興味とは違うかも……。

 次は、青島のリニューアル飛竜の作例。何が壮絶かといって、具体的に友永大尉の最後の攻撃隊出撃時の再現として零戦6機、九七艦攻10機を並べ、しかも、1機ずつマーキングまで変えています。零戦2機は加賀の機体として赤帯2本だとか、九七艦攻1機は赤城の期待で赤帯一本、といった説明が書かれています。こういう部分に凝ることは、細かい工作を積み重ねることとは違う別の壮絶感を感じさせますね。

 最後は、トランペッターの1/35レオポルド。鉄道車両として筋の通った造形も含めて、全長1メートル近いサイズにこれでもかというぐらいに詰め込まれた情報量が凄いですね。こんなものが実際にあって、しかもたった1万8千円ぐらいで売られているのだというのは、凄いことだと思いました。