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2003年12月11日
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異説桃太郎・鬼と一緒に大暴れ編

Written By: 遠野秋彦連絡先

 昔々、あるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました。

 お爺さんは山に柴刈りに、お婆さんは川に洗濯に行きました。お婆さんが川で洗濯をしていると、どんぶらこ、と大きな桃が流れてきたではありませんか。

 びっくりしたお婆さんは、その桃を拾い上げ、家に持って帰りました。

 お爺さんが帰ってきたところで、さっそく食べようと桃を切ったところ、中から元気な赤ちゃんが出てきました。

 お爺さんとお婆さんは、さっそく赤ちゃんに桃太郎と名前を付けて育てました。

 桃太郎は驚くほどの早さで育ちました。

 そして、一人前になるとこう言いました。「僕は悪さをするという鬼ヶ島の鬼を退治してきます」

 桃太郎、お婆さんが作った日本一の吉備団子を持ち、犬と猿とキジをお供に引き連れて、鬼ヶ島を目指しました。

 海岸までたどり着くと、さっそく小舟を調達して、鬼ヶ島に向かいました。

 しかし、鬼ヶ島に向かう途中で、大きな船に取り囲まれてしまいました。

 「これは攻撃を察知した鬼が先制攻撃を仕掛けてきたのか」と思った桃太郎でしたが、よく見ると、まわりの船に乗っているのは人間です。

 「いったい何の用か」と桃太郎は声を張り上げて質問しました。

 すると返事が返ってきました。

 「おまえ、通行税を払っていないな? この海を船で渡る者は、すべて神社の神様に通行税を払うものと決まっている。さあ、神罰が恐ろしければ通行税をすぐ払え」

 そうか、神社の船か。それなら悪者ではあるまい。そう桃太郎は思いました。しかし、通行税に払えるお金など持っていません。

 桃太郎は叫びました。

 「私は日本一の桃太郎。鬼ヶ島の悪い鬼を退治に行く正義の味方だ。金は持っていないから通行税は払えないが、鬼退治は神様の望むところでもあるだろう。ぜひ通してくれ」

 すると、周囲の船からドッと笑い声が起こりました。

 「鬼ヶ島の鬼とは俺たちのことだ」という声が桃太郎の耳に届きました。

 「なに!? どういう意味だ!? おまえたちは、神社に仕える神のしもべではないのか?」

 「その通りだ」

 「なら、どうして自分が鬼だと言うのだ!?」

 「俺たちは、海鬼党だからな。みんな鬼と呼ぶ。根城も鬼ヶ島だ」

 「嘘をつけ。鬼ヶ島の鬼は、いろいろな船を襲っては積み荷を奪っていると聞くぞ」

 「ああ、確かに積み荷はいただいているが、それは神に納める通行税を払わなかった船からだけだ」

 「なんだって!?」と桃太郎は考え込みました。そう言われてみると、桃太郎自身、積み荷を奪われた船が通行税を神に納めているか、何の話も聞いていません。

 「通行税が払えないなら帰った帰った」と鬼達は言いました。

 「あれだけ大見得を切って、鬼を退治してくると言って出てきたんだ。このままおめおめと帰れるか」と桃太郎はやけになって叫びました。「せめて、山のようなお宝を持って故郷に帰らないと」

 「よし、ならこうしよう」と船の上に海鬼党の親分が出てきて言いました。「おまえ、腕っ節も強そうだし、動物の手下もしっかり掌握してるようだ。海でも立派に仕事ができるだろう。俺たちの船に乗って、仕事を手伝え。上手くできたら、没収したお宝の一部をやる。どうだ?」

 桃太郎は、即座にその提案に乗りました。

 それから、桃太郎と犬と猿とキジは、神社の配下で動く海鬼党の一員となりました。そして、特定海域を通る船を調べ、税金を徴収する仕事に従事しました。しかし、素直に通行税を払う船ばかりではありません。税を取る権利を認めない者もいたのです。彼らは、海鬼党など、京の朝廷とは関係なく自称しているだけ、と主張しました。

 そんなときは、桃太郎の大暴れです。もちろん、鬼と一緒に暴れているなどと故郷に知られたら大変なので、鬼の仮面を付けてオニ太郎と名乗っていました。しかし、天下無双、日本一の桃太郎ですから、強い強い。最後には必ず「お助けください、オニ太郎様」と相手が頭を下げるのでした。

 それだけではありません。通行税を取る権利を主張する連中が、あちこちの海に出没しました。通行税を取るという建前はあっても、気分次第で略奪者に変身するような手合いです。そういう連中が、海鬼党の勢力範囲に出てくれば、完膚無きまでに叩きのめすのも仕事のうちでした。それによって海の秩序は守られ、安全な航海が可能になっていたのです。

 桃太郎は、海鬼党こそ、本当に海の安全と秩序を守っているのだと思いました。確かに、朝廷から役職を与えられてやっている仕事ではありませんが、ちゃんとバックには神社もあるし、気分次第で奪う海賊とは違うものです。彼らは、海に必要な存在だったのです。それが分かってからは、桃太郎は更に熱心に仕事をこなして、海鬼党の誰からも気に入られ、一目置かれる存在になりました。

 その結果、桃太郎が故郷に帰るときには、たくさんの金銀財宝が与えられました。

 桃太郎は、それを持って、犬と猿とキジを従えて、お爺さんとお婆さんの待つ故郷に戻ったのでした。

 戻ってみると、桃太郎は、海鬼党のことをどう説明して良いか分からないことに気づきました。山から出たこともないお爺さん、お婆さんに、海の秩序のことを分からせる自信がなかったのです。

 そこで桃太郎は語り始めました。「鬼ヶ島に上陸したら、まず名乗りを上げ、出てくる赤鬼、青鬼をバッタバッタと斬りまくり……」

 めでたし、めでたし。

おわり

(遠野秋彦・作 ©2003 TOHNO, Akihiko)

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