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2004年01月22日
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なんていうか、軽巡利根奮戦記~逆転ミッドウェー海戦~帝国海軍ついに勝つ~って感じ? (後編)

Written By: 遠野秋彦連絡先

 これは、「なんていうか、軽巡利根奮戦記~逆転ミッドウェー海戦~帝国海軍ついに勝つ~って感じ?」の後編です。

 前編はこちらにあります。

 中編はこちらにあります。

後編 §

 だが、ここで落胆するのは早い。

 実は、大きな裏技があるのだ。

 この4隻の巡洋艦の後に建造された利根、筑摩という巡洋艦がある。この2隻は完成時からずっと20センチ砲を搭載しているが、それは軍縮条約を破棄した後に完成したからに過ぎない。実は、計画時には15センチ砲搭載だったらしい。

 ということは、今考えている架空史の中で、この2隻も15センチ砲を搭載していることになる。

 更に、好ましいことに、この2隻は、悲劇の4空母とずっと行動を共にしているのだ。

 これで、主役となる凄い架空の軍艦は利根か筑摩で決まりだ。ここでは、あまり根拠はないが、先に生まれた利根を主役にするとしよう。

 だが、利根が20センチ砲の代わりに、15センチ砲を搭載したぐらいで、ミッドウェー海戦の成り行きが変わったりする可能性があるのだろうか。

 ここで、1つ思い出してみよう。この15センチ砲は、対空砲としても使える優秀な砲だというのだ。

 そう。もしも、利根の大砲が対空砲としても使える優秀なものだとすれば、当然、利根は艦隊の防空という役割も担うことになる。もちろん、どんな軍艦であっても、航空機を攻撃する装備を持っているし、それを空母を守るために使うのは当然なのだが、通常の軍艦が使うのと、特に防空が得意な軍艦が使うのでは意気込みが違うだろう。後者は、まさにその軍艦の存在意義を掛けて熱心に対空攻撃を行うはずだ。

 そう考えると、あとはどんどん妄想が生まれてくるではないか。

 アメリカの航空機の攻撃から艦隊を守るのは、ゼロ戦隊と、利根、筑摩の防空巡洋艦部隊の2つになる。本当はこんなに単純なものではないが、ドラマとしては単純化した方が盛り上がるだろう。

 ミッドウェー島に向かって進む日本艦隊。襲いかかってくるアメリカ軍機。それをあっさりと蹴散らすゼロ戦隊。

 そんな状況で、利根の乗員はどう感じるだろうか。

 「我々も艦隊の防空を任されているというのに、活躍する場面がないではないか」

 しかし、だからといって、指をくわえて見ている手はない。

 「ゼロ戦隊のいない方角を集中的に監視せよ。そこに敵機が出たら、主砲をお見舞いするのだ」

 とまあ、そんな口調で軍人が言うかどうか分からないが……、まあ言わないだろうが、そんな感じで乗員は必死に監視をするわけだ。

 そして、低空から侵入してくる雷撃機を迎え撃つためにゼロ戦隊は低空に舞い降りてくる。そこで利根の乗員はゼロ戦不在の高空を必死に見張り、自慢の15センチ砲も仰角を付けて高空に向けられることになる。

 すると、高空から急降下してくる爆撃機が見えるではないか。

 「てぇ!」と命令が下り、待ちかまえていた15センチが火を噴く。

 いきなり撃たれて慌てふためく爆撃機。

 爆撃機を撃墜することはできないものの、爆弾は狙いをはずれて、燃料や爆弾を満載した飛行機の並ぶ空母ではなく、海に落ちると言うわけである。

 こうなれば、あとはワンサイドゲームだ。

 発進直前の攻撃隊は、アメリカ軍の空母に向けて飛び立っていき、そして、この作戦に参加した3隻のアメリカ軍空母を沈めるか、大損害を与えて戦闘継続不能にしてしまうだろう。アメリカ軍の空母は、もともと、やばそうなら逃げてこいと命令されているので、沈むまで必死に戦い続けるような真似はしないだろう。つまり、窮鼠猫を噛むような逆転劇も生まれにくいだろう。

 その結果、見事、利根に15センチ砲を乗せることで、ミッドウェー海戦を逆転勝利に導くことができたわけだ。

 もちろん、この話がどの程度のリアリティを持つかは分からない。歴史マニア、兵器マニアは、あちこち、間違いや矛盾をつつきまくるだろう。だが、それはそれで構わない。

そういう読者のための小説は、もっと勤勉な小説家に任せれば良いのだ。ここで私が目指すものは、ちょっとした痛快ホラ話に過ぎないのだから。

 さて、ここで読者の皆さんは疑問に思ったかもしれない。そこまで話が出来ているのなら、どうしてそれを小説として書かないのか。

 その理由は、この物語の先を考えると分かる。

 ミッドウェー海戦に勝った日本軍は、次に何をするだろうか。

 もちろん、ミッドウェー島を占領することができるだろう。ここは戦略上重要な位置を持つからこそ、攻略目標に選ばれたわけだ。占領した以上は維持しなければならない。だが、ここは日本からは遙かに遠い太平洋のど真ん中だ。そして、ミッドウェー島は大した資源もない小さな島に過ぎない。必要な物資は何もかも、外部から輸送しなければならない。だが、それこそが日本海軍が最も不得意とする分野だ。アメリカ軍が潜水艦で、輸送船をネチネチと沈めていけば、ミッドウェー島の兵達はすぐに武器も不足し、飢えることになるだろう。またハワイから来る爆撃機によって、ネチネチとミッドウェー島の日本軍をいたぶることができる。確かに、強力なゼロ戦がミッドウェー島の滑走路から迎撃に飛び立てば、爆撃機を追い払うことも撃墜することも容易だろう。だが、いくらゼロ戦が強力と言っても、補給がままならなくなれば、消耗した機材の補充もできなくなる。

 つまり、ミッドウェー島はピンチに陥ってしまうのだ。

 そうなると次に予想されるのは、ピンチの源を絶て、という議論だろう。つまりは、日本軍によるハワイ攻略だ。ハワイは航空基地があるだけでなく、アメリカ海軍の太平洋における重要な根拠地だ。ここを占領してしまえば、爆撃機だけでなく、潜水艦の行動も抑制することができるわけだ。

 しかし、ハワイは規模も大きく住民も多い。しかも、アメリカ海軍の大根拠地でもある。そして、日本からの距離は遠い。真珠湾攻撃のように奇襲攻撃するだけならともかく、そこを占領するとなると、遙かにハードルが高くなってしまう。実際、ハワイを攻めるとなれば、防衛側のアメリカ軍が空母を持っていないとしても、それはさほど問題ではない。陸上の飛行場を使えば良いからだ。むしろ、陸上の飛行場の方が空母よりも良いとすら言える。陸上なら、爆弾が落とされて穴が空いても埋めるだけで復旧できるのだが、撃沈されてしまった空母はもはや復旧させようがない。

 だが、ミッドウェー海戦に勝利して無敵神話にうかれまくる日本軍に、そのようなハードルの高さを意識する冷静さは無いだろう。実際、ミッドウェー海戦の時点で既に冷静ではなかった。軍港のある街の床屋のオヤジが、最重要機密である次の攻略目標を知っていたという話があるぐらいだ。

 ここで油断した日本軍は必然的に大敗北を喫するだろう。それに加えてミッドウェー島に補給物資を送るために、輸送船や護衛の軍艦も消耗していることだろう。どう考えても、その後の展開が、史実よりも日本に有利になるとは思えない。

 いや、むしろ、史実よりも悪くなる可能性すら考えられる。ミッドウェー海戦で頭を冷やすチャンスを与えられたからこそ、昭和20年まで日本海軍は粘ることができた、と考えるなら、頭を冷やすチャンスを与えられないまま先に進んでいたら、取り返しの付かない失敗を犯すだけかもしれない。

 そんなことを考えると、とてもではないが、痛快ホラ話の架空戦記にはなりそうもない。いや、アメリカ人には痛快な話にはなるかもしれないが、日本人には悲痛だろう。

 つまり、この話は架空戦記としては成立しない、というのが結論であったりするわけなのだ。

おわり

(遠野秋彦・作 ©2004 TOHNO, Akihiko)

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