読み終わるまで、けっこう時間が掛かってしまいました。
その理由は2つあります。1つは、作品に入って行くのに苦労を要したこと。入って行くには苦労しましたが、何をいわんとしているのかがハッと分かると、そのあとはグイグイ読まされる力がありますね。もう1つは、電車の中で読もうと鞄に放り込んでいたが、あまり電車に乗る機会が多くないことです。しかし、電車に乗る前に本屋を覗いて新刊を見つけて買ったりすると、それを読んでしまい、こちらはさっぱり進まなかったり……。
夜間飛行 §
これは、ともかくリヴィエールの魅力に尽きますね。彼が何者であり、何をしようとしているのか。そして、彼が今直面しているものが何か分かったところから、グイグイと読まされました。
こういう管理職は今の日本でも必要とされているはずですが、あまりいないのでしょうね、きっと。
しかし、1つの理想像として示すことは価値があると思います。
問題は、この作品があまりに取っつきにくく、誰にでも読んでみなさいと渡せないことですね。おそらく、大半は、最初の取っつきにくさ故に、面白くなる前に脱落すると思います。(そうですね? おがたんさん)
南方郵便機 §
こちらの方は、ジュヌヴィエーヴという女性の魅力ですね。それが見えた瞬間に、グイグイと読めるようになりました。けして、全ての点で理想的であるとか褒められる女性ではないものの、光り輝くところでの魅力は、絶大なものがあります。この女性のために人生を踏み外すということも、男としてはあり得ることでしょうね。