2004年06月06日
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時代アニメ論: もののけ姫

Written By: トーノZERO連絡先

概要 §

 いわずとしれた宮崎駿監督が様々な記録を塗り替えたアニメ映画です。

 主人公は、エミシの生き残りが住む隠里の王子。しかし、祟りを受け、村を出なければならないことになります。そして、西の国で、製鉄を行う集団と山の神々との戦いに巻き込まれます。

ここが見どころだ! §

 武士が脇役としてしか登場せず、様々な身分の低い者達が、実に生き生きと活動します。かつてはサムライだけが人間らしく生きていて、他の者達は生かさず殺さずで黙々と米を作っていた、などということがあるはずもなく、本来あるべき歴史ドラマを作ろうという意欲が感じられます。このあたりの追求の深さは、本職の歴史研究から一目置かれることもあるぐらい確かです。一般的な時代劇が、かなりいい加減な描写でも商売として成り立っていることを考えれば、明らかに一般観客が理解できないリアルな描写を積み重ねる必要など無かったと思います。しかし、あえてその追求を行うところが、画面にある種の凄みと説得力を生んでいると思います。

 しかし、一方で、山の神々であるとか、祟りであるとか、実際にはあり得ない様々な描写が、リアルな描写と同居しています。

 そのあたり、時代アニメの特徴と考える以下の条件を見る感じがします。

  • 歴史的なリアリティをストイックに追求する部分がある
  • 現実の歴史からの痛烈に離反する部分がある