今日は、国立科学博物館のテレビゲームとデジタル科学展に行ってきました。ついでに、上野恩賜公園に立ち寄って、摺鉢山古墳、彰義隊の墓、西郷隆盛銅像なども見てきました。
事の発端 §
「僕らのパソコン10年史」を編集した翔泳社の清水さんが、さるメーリングリストで、「テレビゲームとデジタル科学展」で古いコンピュータ関係の展示も行われていると書いたことです。
それで、調べてみると、こんなものも展示されていることが分かりました。
- 日本初上陸!世界初のプログラム内蔵式電子計算機「ENIAC(パーツ)」
- 世界初のマイクロプロセッサ「インテル4004」
- アップル創業者のサイン入り「アップル1」
と言うわけで、最初は入場料が高いので行かないつもりでしたが、どうしても気になって行くことにしました。前回の週末はどこにも行っていないので、今週は2回行ってもバチは当たらないだろう、と理屈を付けて。
国立科学博物館 §
上野駅から国立科学博物館までの道は既に分かっていたので、まっすぐ行きました。
ここは、ずっと昔、小学生か中学生の頃に一度来たことがあるような気がします。
しかし、もう内容は覚えていません。
テレビゲームとデジタル科学展 §
貧乏なので、割引クーポンをプリントアウトして持って行きました。
とりあえず、入場券を買って中に入りました。
ユビキタスゲーミングというゲームが体験できるというので、子供向けの企画であるのも関わらず、200円払って参加しました。大人げない。本当に四十の大人のやることかねぇ (汗。
ゲーム内容は、ユビキタス端末を渡されて、会場内のいくつかの場所でそれを操作して課題をクリアするというものでした。端末は、傾きや加速度を検出するセンサーが入っているようで、傾けたり、振ったりする操作を行うようになっていました。また、マトリクス状のLEDの表示板とイヤホンが付いています。
展示を見れば正解が分かるのですが、実際には問題がありすぎて必ずしも上手くできない感じです。まず、特定の場所に立つと、勝手に解答シーケンスが始まってしまいます。展示を理解してから答えようと思ってもできないことがあります。また、絵で示されるクイズの答は、非常に荒い表示であるため、それが何を示した絵か把握する前にタイムオーバーになってしまうこともあります。結局、2つの課題をロストしてしまいました。どちらかといえば、技術偏重、ハード偏重のクソゲーと言っても良いのではないかと思います。
他に、多人数参加型のゲームのコーナーもありました。赤と緑の札をみんなで上げてゲームを行うものと、TVでも宣伝しているテレビカメラで遊ぶアイトーイの窓ふきでした。窓ふきも、多人数参加でみんなで行います。
展示内容は、ENIACの部品から始まって、古いゲーム機、パソコンなどから新しいものまでずらっと並びます。テレビテニスの元祖のようなオシロスコープを使ったゲームの再現品もありました。有名なATARIのゲーム機の試作品というのもありました。部品を多く使った巨大なものですね。珍しいものでは、ソードM5や、ぴゅう太などもありました。ぴゅう太は日本語BASICをサポートした懐かしい低価格パソコンですね。
Apple-Iの基盤は、しげしげと眺めてしまいました。漠然とした予想が裏切られたハード構成でした。目立つ石は、6502と6820ぐらい。特に6820というのがちょっと意外でした。確か、Apple-IIは6522VIAが載っていたはずです。モトローラの68ファミリーの6820PIAではなかったはずです。でも、6820はけっこう好きなので、これを見られたのはちょっとハッピーな感じですね。何せ、最初のマイ・コンピュータはH68/TRですから、6820や6850には8255や8251や6522などよりも親しみを感じます。もっとも、実際に使った頻度から行くと、8251あたりの方が多かったりするような気がしますが。8251はPC-8001に搭載されていて、カセットインターフェースやシリアル関係ではお世話になった石ですので。
ただ、展示全般に問題が無いわけではなく、PC-8001のCPUクロックを1MHzと誤記していたり、PC-8001はRAM容量を標準搭載の16MBと記載していながらMZ-80Kは最大容量の48MBと記載していたり、資料調査の正確さと一貫性が不十分という感じがあります。
また、全般的に子供と親にアピールするエンターテイメントのイベント的な雰囲気が強く感じられます。
それに加えて展示内容が圧倒的にハード偏重というアンバランスさを感じます。本来、ゲームの本質はハードではなくソフトにあります。多数の貴重なハードを並べるだけでは、ゲームに関する企画展としては全く不十分であるだけでなく、不適切な印象を与える危険があると思います。もっと単純に、ハード偏重は日本で繰り返される悪いパターンであって、そのパターンにあっさり飲まれてしまっているだけ、と思っても良いのかも知れません。企画者が平均的な日本人のセンスの持ち主であれば、必然的にハード偏重になるのが自然な成り行きと言うことですね。
これらの問題は、以前に行った別の企画展 「東京都写真美術館・ファミコン生誕20周年 テレビゲームの展覧会レベルX」と対照的だと感じました。こちらの方は、本当によく調べていると感心させられました。基本的に生産終了したファミコンという過去の存在にフォーカスして、放置しておけば散逸してしまう歴史的な遺産を集積して展示するというアカデミックに意義のある筋も通していると感じました。企画者は、今ここで何をする必要があるのか、きちんと理解するセンスを持っているのだろうと思います。「レベルX」に感じた好感のまさに裏返しが、今日見に行った「テレビゲームとデジタル科学展」への不満感に当たります。
余談ですが、レベルXの感想で、私はゲーム業界が道を誤ったのはPlayStation2が元凶だろうと書いています。しかし、この「テレビゲームとデジタル科学展」は、まさにPlayStation2を褒め称える内容になっており、全く反対のベクトルを持っていることになります。実に興味深い符合です。
まあ、それはさておき、「テレビゲームとデジタル科学展」のもっとも嫌な部分は、以下のコピーですね。
まるで、デートのダシに使ってくれ、といわんばかり。それは、展示物が来客と真剣勝負していないことの裏返しですね。
上野恩賜公園 §
さて、あまり気分が良くなかったので、「テレビゲームとデジタル科学展」の入場券で常設展も見られましたが、そこは見ないで出てしまいました。(出る前にミュージアムショップだけ、少し見てきました)
そのあと、上野恩賜公園を少しぶらぶらと。
実は、上野恩賜公園には、まだ歩いていない領域があるのです。もしかしたら、ずっと昔に来ているかもしれませんが、記憶に無い場所です。特に西郷さんをちゃんと見た記憶がないことに最近気付いて愕然としたので、一度見ておきたかったのです。
そういう感じで歩いていると、ちょっと古墳というショッキングな文字が目に飛び込んできました。この丘が摺鉢山古墳だというではありませんか。
まさか、こんなところに古墳があるとは。驚いて、思わず上に上がってしまいました。周囲の斜面に木々が生えていますが、古墳なら作られた時点で木などなかったのでしょう。そのあと、植物に覆われてしまったのでしょうね。
さて、彰義隊の墓です。
ここは彰義隊の戦いの戦場だった場所ですね。戦いの詳しい経緯を書いた本を持って、個々の戦いの場所を追いながら歩くと面白そうです。
そして、西郷隆盛銅像。
彰義隊の墓の手前に西郷隆盛銅像という位置関係は、確かにちょっと残酷な配置です。
その他に、こんな良く分からないものも発見。
味があって面白いですね。さすが上野です。
しかし、更に面白いものを発見。
駅への近道と称する下への階段ですが、降りるとビルの中に通じます。そして、下まで降りると、道路の高さの地上部分に出ます。今まで地面だと思って歩いていた部分が、地上4階ぐらいの高さになっているトリックじみた高低差が面白いですね。