2004年08月23日
トーノZEROアニメ感想蒼穹のファフナー total 3034 count

子供を戦わせて自分達が生き残ることが納得できない義理の親たち!?

Written By: トーノZERO連絡先

 謎のアニメ感想家(笑)、翼の騎士トーノZEROのアニメ感想行ってみよう!

 今日のファフナーの感想。

サブタイトル §

第7話 「家賊 ~おやこ~」

あらすじ §

 翔子の死は、不評でした。多くの島民は、マークゼクスを失ったことの方が問題であると考えているようでした。そのためか、翔子の墓は汚されていました。

 司令官は新国連に渡すものはもう無いと宣告します。そして、過去に新国連は日本を生け贄にした、と言います。(既に日本は存在しないことは第1話で総士の口から語られています)

 訓練中のパイロットのために、実際にファフナーを動かす訓練が行われます。

 要と春日井は二人で一騎に立ち向かいますが圧倒的に勝てません。

 要と春日井にも、染色体の変化が起こっていることが明らかになります。

 竜宮島の他にも、同じような島が見つかります。

 他にも竜宮島と同じような島が作られていたことが明らかになりますが、詳細は知らされていません。

 そこに調査のために行くことが決定されます。

 一騎はもちろんとして、春日井もファフナーで。

 真矢は医療班の手伝いとして同行します。

 その夜、春日井は犬をひろって来ますが、父親が犬を飼わせません。犬の飼い手を探して雨の夜を歩く春日井君。翔子の母親が引き取ってくれます。

 島に飛ぶ輸送機内で、真矢の隣に座った溝口さんは酒を飲んでいました。

感想 §

 まずサブタイトルが、「家賊」という表記なのが凄いですね。家族ではありません。海賊や山賊の賊の字を使って、「家賊」と表記しています。凶悪ですね。実際、これらの家族は、何かの計画のためにあてがわれた子供を育てるための便宜上の存在に過ぎません。それにも関わらず、まるで本当の子供のように激しく愛する翔子の母のような人もいれば、春日井の父母のように、単なる仕事と割り切る態度を示す人もいます。もっとも、春日井の父母が本当に仕事と割り切っているだけかどうかは分かりません。そのあたりには、やや歯切れの悪い部分が残ります。そこが人間くさいところで、ファフナーの魅力ですね。

 演習では、ペイント弾装備を厳重に確認してから始めるところが、武器の重さを感じさせますね。そして、それを見ている親たちという、ある種の心を感じさせるドラマ。

 演習後は、要と母の会話が凄いですね。

 「危ないと思ったら逃げなさい。それが命令違反でも」と娘に囁く母。組織人としては正しくないですね。

 それに答えて「死ぬのは嫌」と強く答える要。これが翔子の死の波紋というものですね。つまり、物語のクライマックスで景気よくキャラクターを殺しまくって視聴者の涙を絞り出す演出との決定的な相違がここにありますね。ストーリー序盤での死は、その死の重さを他の登場人物達に重苦しく残ります。ただ感動の涙を流すだけでは済まされない、もっと重いものを視聴者に突きつけます。死を描くことを全て悪いことであるかのように決め付ける視聴態度を取る人もいますが、そうではないですね。もし、本当にそれが悪であるなら、リュウやマチルダが死んでいくファースト・ガンダムも否定されねばなりません。

 さて、この会話の直後に、「死ぬのは嫌」と答えた要は、その直後に「でも逃げない」と言ってしまいます。深読みすれば、翔子にライバル意識があって負けられないと思うところがあるのでしょうか。もしそうなら、翔子はもはや生きていないために、完全無欠の非人間的なライバルとなります。翔子が残した完全なる結果は、それ単独で神格化され、関係者から特別な思いをもって語れるようになります。それをライバルと思うことは、あまりにも分のない戦いであるかもしれません。それでも、翔子に負けないことを目標とするなら、「死ぬのは嫌」という強い思いをも上回る「逃げない」というもっと強い思いによって行動するしかありません。危なくなっても逃げないとすれば、それが導き出す結果は「死」の可能性となります。

 翔子の死は、死の重さを関係者に意識させましたが、同時に、死ぬという生き方もあるというお手本を示してしまった面があるかもしれません。

更に感想 §

 子供を戦わせて自分達が生き残ることが納得できない親。

 一方で、うちのは外れだという親。

 親もいろいろですね。

 島に向かう調査隊に選ばれなかった要に対して、「使えるパイロットは残しておく主義だ」という総士。それに対して「そういうことにしておくわ」と答える要。更に、それに対して「助かる」と答える総士。

 つまり、二人は、口に出したことが全て嘘であるということを了解し、それを承認したことになります。なかなかに痛い会話ですね。それ故に、「助かる」という総士の言葉は、本当に助かった気持ちがありそうです。

 しかし、こうやって一騎が島から離れたときに、島を守るために残されるというパターンは、翔子の時と同じ。そんなことから、要は素直に納得した面がある?

 目的はあくまで資材確保だという調査隊。調査と言いつつ、やはりいろいろな資材が欲しいわけですね。確かに、日本が存在せず、孤立した島の中で活動していれば、いろいろと欲しいものも多いでしょう。

今回の一言 §

 大形ジェット飛行艇、という感じで色気のあるデザインの輸送機がなかなか良いですね。しかも、機内の描写がまさに軍用輸送機らしい感じなのが良いですね。