2004年11月30日
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両さんと歩く下町―「こち亀」の扉絵で綴る東京情景 秋本治 集英社

Written By: 川俣 晶連絡先

 コミックの扉絵で特に印象深い作品が3つあります。

 1つ目は、突撃!パッパラ隊です。毎度毎度、こだわりのある見事な扉絵に、感動させられました。

 2つ目は、魔法先生ネギま!です。毎回ではありませんが、それだけで鑑賞に堪えるような実に良い感じの扉絵が付くことがあり、これも印象深いです。

 そして最後の3つ目が、こち亀です。

 発行部数の多いメジャー少年誌の長寿連載定番コミックでありながら、実に見事で魅力的な扉絵が飛び出す凄い作品です。時として本編内容よりも良いぐらいですね。

 特に、本編内容が子供っぽいドタバタに走った場合でも、言葉で語らずに1枚の絵でドラマを語る扉絵は渋く気持ちよく大人っぽく決まっていたりするのが良いですね。

共感する風景 §

 最近、こういう関係で、東京東部を歩く機会が増えています。それにより、「ああ、あのあたりか」と分かったり、場合によってはそのものずばり「あそこか」と分かる場所もあります。コミックス発行時点で行ったことがない場所でも、本書を読んだ時点で知っていた場所もあります。

ただ1つの不満は §

 ただ1つ不満なのは、あからさまに絵のモデルとなった場所を言葉で説明してしまうことで、かえって安っぽい雰囲気になってしまう事例もあることです。つまり、「なんだ、あそこか」と分かってしまうと、良いムードの魔法が解けてしまう場合もあるということで。