実はまだ付録を読み切っていません。
読み切ったら感想を書こうと思っていましたが、もういい加減時間切れだと思って感想を書いて終わります。ちなみに、付録はUML for Java クイックリファレンス、つまりリファレンスなので、読まなくてもまあ許されるかなと (汗。
ちなみに、理由はJavaだからではありません。念のため。
形式の問題 §
真に知的であらんとするならば、しかるべき形式というものが要求されます。
(形式などどうでもよい、中身こそが重要なのだ、という主張は愚かさの発露です。形式とは、無意味なトラブルを回避するための知の結晶と見るべきものです。少なくと、誤用しなければ)
たとえば、本論を始める前に用語の定義を行うなどです。
そのような形式的な手順があまりにもおろそかにされていて、いかにも解ったような解らない言葉が飛び交うのが「オブジェクト指向」の世界であると思っていました。
しかし、本書は、そうではない「オブジェクト指向」に関する本もあるのだと教えてくれました。その点で、非常に画期的です。人生の1つの転機と言っても過言ではありません。
その後、あらためて慎重にいくつかの「オブジェクト指向」関連書籍を見ましたが、本当にきちんとした書籍は少数ながら存在することが解りました。そして、それらの書籍は、読んでも気持ちが悪くなることはないことも解りました。
これを切っ掛けに、「オブジェクト指向プログラミング」について、前向きに取り組めるようになりました。
それもこれも、本書のおかげです。浅海さんありがとう。
土俵に上がった、しかし…… §
駄目な「オブジェクト指向」についての言説とは、そもそも議論の土俵に上がる資格のない言説です。
本書は、議論の土俵に上がるに相応しい内容で私を驚喜させました。
しかし、土俵に上がるのは終着点ではありません。単に、門前払いされなかっただけの話です。
問題の核心は、本書で学んだUMLにいかなる意義があるかという点にあります。
それについては、少なくとも私には要らない、むしろ無い方が良い、という結論となりました。
現実的なプログラミングとは、ニーズと環境の変化に対して常にソースコードを追従することであって、そのためにはソースコード自らに語らせるしかないと思います。UMLは非常に大ざっぱで誤った解釈で言えば、ソースコードの部分的な代弁者に過ぎません。ソースコード自身に語らせず、代弁者を経由する行為は、時間とコストを余計に消費してしかもトラブルが入り込む余地を増やします。
もちろん、私の抱えている問題領域以外では、UMLが有効であるケースがあるかもしれません。しかし、私の問題領域では、今のところ肯定的な使い方は思い浮かびません。
それでも好感する本書 §
結論としてUMLは使えないということになっても、本書はとても好感できる書籍という印象が残ります。
これはよい本です。
とても薄いし。
薄いということは、それだけで強みです。