ねらわれた学園
紀伊國屋書店

2005年01月07日
トーノZEROアニメ感想舞-HiMEtotal 2343 count

こともあろうに凶悪な戦車を蹴飛ばす職務への熱意も可愛い生徒会執行部長!?

Written By: トーノZERO連絡先

 謎のアニメ感想家(笑)、翼の騎士トーノZEROのアニメ感想行ってみよう!

 今日の舞-HiMEの感想。

サブタイトル §

第14話「ねらわれる学園」

あらすじ §

 アリッサは学園に通じる橋を破壊した後、通信を途絶させ、シアーズ財団の私兵集団を呼び込みます。

 彼らは、橋を破壊した犯人を捜していると主張します。そして、細菌兵器を使った可能性があると言い、女子生徒の血液検査を行います。しかし、彼らは姫を捜していました。

 アリッサは理事長室に乗り込みますが、そこにいたのは偽物の人形でした。

 事情を知らない舞衣は軍隊に捕縛されます。

 舞衣は、アリッサと深優の優しい二人の関係を思い出し、なぜこんなことをするのかと質問します。しかし、アリッサは深優との関係だけに意味があり他人は関係ないと思っていることを示します。

 そこに命が乱入し、舞衣は脱出します。他の姫達も、各々、脱出します。

 しかし、脱出したことによって、誰が姫であるかがアリッサに知られてしまいました。

 舞衣と命は、オーファンに襲われている楯と詩帆と出会います。

 楯に詰問された舞衣は、事情を話してしまいます。

 そして、舞衣は自分が被害者のつもりでいたことに気付きます。

 舞衣が笑顔でいられる状況を取り戻すため、舞衣と命は戦います。

 炎は二人に地下神殿に行けと言います。

 舞衣達の前に、オーファンの他に兵士達も現れます。舞衣は、人間は殺せないという強い倫理観を示します。

 そこに、なつきが空から救援に来ます。閃光弾で敵の目を眩ませて、3人は脱出します。

 そして、地下神殿では姫達がみな集合し、理事長はここが学園を守る最後の砦だと言います。

感想 §

 まず、サブタイトルの「ねらわれる学園」は「ねらわれた学園」のもじりですね。

 ちょっと嬉しい表現ですが、今回の凄い内容の前ではあまりに些末なことと言えます。

 何が凄いかと言って、呑気な日常の裏で陰謀が蠢くドラマから、いきなり日常が軍隊によって浸食される急転直下の展開。それは、オタク相手にぼろい商売をしようとする手抜きアニメとは一線を画した緊張感とスピード感をもって描かれています。また、乳がでかいとか下着がどうとか、そういう呑気な展開が入る余地もありません。それを目当てに見ていた視聴者はがっかりしたかもしれませんが、これこそが最初から作品の中に封じ込められていた本性というべきでしょう。徐々に積み上げてきた凶悪な部分が、一気に牙をむいたという感じですね。

更に感想 §

 戦車を見ようと窓に身体を乗り出す生徒達。そこで、太った女子生徒と冴えない眼鏡の男子生徒が描かれているところが、凄く良いと思いました。いろいろな人間がいてこそ、人が生きている現場の雰囲気が出てくるというものです。似たような理想化された体型のキャラばかりでは、雰囲気が出ないばかりか、退屈してしまいかねません。

 そして、戦車と呼ばれている車両が、実は戦車というよりは装甲車らしいこと。これは良心的な描写ですね。シアーズ財団の私兵集団、ということのようですが、このような任務の性格や、部隊の性格からして、戦車をもって来てもあまり意味がない、あるいは戦車を持っていない可能性もあり得ます。とりあえず戦車を出して大砲を撃たせれば凶悪なムードを出せると思っている勘違いアニメとは比較にならない良い緊張感があります。

 更に、この「戦車」に立ち向かう我らが珠洲城遥! 彼女はもう最高ですよ。戦車だろうと態度を変えないでストレートに突っ込んでいくとことは、ある意味で最強のヒロインです。

 シスター、なつき、命、舞衣の写真を持っている軍人が出てきますが、いかにも隠し撮りという感じで、あまり可愛くない顔で撮れているのが良いですね。けして、カメラを意識した普通の写真ではありません。そこがまた、怪しげな緊張感を生み出しています。

 理事長の花壇に乗り入れている車両。無惨に車輪の下で潰された花もありますね。これは、この軍人達が学園を踏みにじりつつ侵入していることを示すと同時に、軍人達がなりふりかまっていられないぐらいの緊張感を持って突入したことを意味します。もしかしたら、とんでもない隠し要塞で反撃を食らうかもしれない、というぐらいの覚悟はして突っ込んだのでしょうね。

 しかし、理事長は偽物。ここで見せる理事長のしたたかさも面白いですが、全般的に見れば、理事長もかなり追いつめられていますね。

 深優との関係しか意識しておらず、他人にはいくらでも残酷になれるアリッサ。これも凶悪ですね。善意や愛を知っているにもかかわらず、関係ないと思えばいくらでも残酷になれる存在。それは、世界史を見ればよくある状況でもあります。人を殺してはいけません、という規律を強制する宗教であっても、異教徒を「人ではない」と規定することでいくらでも殺せるようにしてしまうことができます。太平洋戦争時代の日本の「鬼畜米英」というスローガンも、相手を人ではなく鬼や畜生であると規定することによって、人を殺してはいけないという倫理規定を維持しつつ敵国人を殺せるようにする機能性があったかもしれません。

そして凄いのは…… §

 そして、何がいちばん凄いといえば、舞衣を問いつめる楯のシーンが良いですね。

 何が良いのかといえば舞衣を問いつめている楯と、その楯にしがみついて必死の形相で舞衣を睨む詩帆。

 彼らは間違いなく、何の心構えもなく異常事態に巻き込まれた一般人の顔をしています。

 この表情を描けたことは、この作品の大きな存在意義の1つだと思います。

 それほどの表情を見ることで、舞衣はなかなか到達し得ない境地に達します。つまり、自分はこれまで被害者だと思っていた、と気付きます。たとえ巻き込まれたことであるにせよ、こういう問題はけして他人のせいにはできません。巻き込まれた以上は、その状況の中で能動的に道を切り開いていくしかありません。そして、開くべき道の行き先は、命が示してくれます。舞衣の笑顔、舞衣が望む日常。凄く良いですね。愛と希望に満ちています。

今回の名台詞 §

舞衣「人間は駄目」

 戦いの中で、人を殺してはいけないという倫理観を示す舞衣。これも凄く良いですね。戦いになれば戦って当たり前、敵を殺して当たり前という、あまりに命の痛みに鈍感でありすぎるアニメが増えすぎている感がある中で、こういう健全なセンスを見せてくれるところは最高に素晴らしいです。

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