うっかりしてました。
入手編を書いておきながら、感想編を書いていませんでした。
さて。
網野善彦さんの本を読み始めた契機は、「古文書返却の旅」を読んで非常に面白かったことです。この本は、様々な紆余曲折と地道な積み重ねによって、意外な歴史を解き明かしていく人間達について書かれていました。歴史を解き明かす本ではなく、解き明かす人間達の話です。
そして、この「僕の叔父さん 網野善彦」も、やはり人間達の話です。
この2冊は、ある意味で相互補完的な関係にあるのかもしれません。
つまり、網野善彦本人によって書かれたのが「古文書返却の旅」であって、他人から網野善彦本人について書かれたのが「僕の叔父さん」というわけです。前者は、網野善彦氏が見聞きしたことについて書かれているのに対して、後者は網野善彦氏本人について外部視点によって書かれています。
また両者は、対象とする領域が微妙に異なります。前者は、主に実際の現地に出て行くフィールドワーク的な側面が多いと言えますが、後者は家に戻ってきた「叔父さん」について書かれています。
そして、前者の本の印象と、後者の本の印象が一致しないことも、なかなか興味深くエキサイティングです。
正直、どう印象を受け止めて良いか分からない部分もありましたが、挑発的でエキサイティングであることは間違いありませんでした。
読んで良かったと思います。