2005年05月19日
トーノZEROアニメ感想極上生徒会 total 2845 count

まるで暴力団のように、暴力で人間の行動を強制するダークな集団、極上生徒会!?

Written By: トーノZERO連絡先

 謎のアニメ感想家(笑)、翼の騎士トーノZEROのアニメ感想行ってみよう!

 今日の極上生徒会の感想。

サブタイトル §

第7話 おせっかいが好き

あらすじ §

 会計の市川まゆらは、しばしばおめかしして外出しています。

 それは、イケメンの男とデートするためでした。

 しかし、隠密の調査により、その男は何人もの女と付き合っていて、しかも極上とのコネを得るためにまゆらと付き合っていると仲間に告げていることが分かりました。

 会長とまゆらに黙って、極上の面々は彼を説得しに行きますが、実は会長はそれを知っていました。

 そして、実力で、引っ越しして転校するからもう会えないという口実をまゆらに向かって言うように強制し、まゆらから手を引かせます。

 一方、まゆらは、会長に対して、友達が悪い男と付き合っていると知り、それを調べるためにイケメン男と会っていることを告白します。

 まゆらは、強制されたイケメンの別れの言葉に対して、それを承知の上で受け入れたふりをして、笑顔で手を振ります。

 会長はこっそり手をまわして、イケメンにまゆらの友達から手を引かせます。

感想 §

 うひゃ~~~、今回もめちゃめちゃやばい話でっせ~~~。

 うっかり見ていると、極上生徒会って仲間思いの良い人ばかり……と感動して泣けるかもしれませんが。

 しかし、とてもではありませんが、これは綺麗なドラマとは言えません。

 むしろ、仲間への不信によって成立しているドラマであるとすら言えます。

 極上生徒会には、プライバシーであるとか、個人の行動の自由というものが著しく欠落しています。

 不審な行動を取る仲間には、隠密の監視が自動的に付きます。誰かが問題提起をすることで付くのではなく、自動的にそれは行われます。市川まゆらの行動という問題が表面化する前から、監視は行われていました。そして、会長抜きで行われた筈の謀議は、一瞬で会長に筒抜けになっています。これは、会長が仲間を信用していない証拠であると言えますね。仲間を愛していても、信用はしていないのです。

 一方で、極上の者達の会長に対する態度も、やはり不誠実です。会長に知られるべきではない、と彼女らが勝手に決めた情報は、会長に伝えられないことになります。

 そして、極上の者達がイケメン男に対して行ったことが何かといえば、結局のところ暴力による強制です。イケメン男がけして好ましい人物ではないにせよ、警察でもない者達が暴力によって他人の行動をねじ曲げるなど、社会的に褒められた行為とは言えません。言ってみれば、やり方は暴力団に近いとすら言えます。それによって達成された「おせっかい」を、仲間の思いの美談と見なすのはかなり躊躇われます。

 そして、もう1つ指摘しなければならないのは、友達のためにイケメン男に接近した市川まゆらは、強制的に嫌々ながら男と付き合うことを求められたと会長に告白していながら、実際にはけっこう楽しそうに描かれていたことです。

 つまり市川まゆらは、このイケメン男が、友達の好きな相手であり、何人もの女と同時に付き合うような最低の男であると知っていながらも、この男と付き合うことに何らかの楽しさを感じていたように見えるのです。言い換えれば、市川まゆらという少女は、抑圧された環境で貯まったストレスを解消するために、着飾ってデートする行為を楽しんだ可能性も考えられるのです。もちろん、それは本気ではありません。イケメン男が市川まゆらを利用しようとしたのと同じように、市川まゆらは彼をストレス解消に利用した、という側面も考えられます。だからこそ、最後の別れのシーンで、にこやかに笑って手を振ることもできたのでしょう。そう、最後の別れの笑顔は、隠れている極上の仲間の好意を受け取ったことを示す演技であると同時に、イケメン男に向けられた本音としての感謝の言葉になり得たのです。

 そういう意味で、極上生徒会という組織とその構成員は、相互不信、監視、スパイ、暴力による強制、状況の利己的利用などと密接に結びついており、けして綺麗な組織、褒められた組織、あるべき望ましい組織ではないと言えます。

今回の一言 §

 それにも関わらず、というよりも、そのような抑圧性を秘めた欠陥組織であればこそ、この極上生徒会という作品には魅力があると言えます。

 今回でいえば、イケメン男をとっちめに出動するシーンや、彼を取り囲むシーンの格好良さ、爽快感は、それらの欠陥の上にしか成立し得ないダークな快楽であると言うこともできるでしょう。

 いや~、ダークって本当に良いものですね。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。