前半は本当にしょうもない話です。
後半に入ると、またしょうもないスケベ外人が出てきます。
それにも関わらず、最後に出てくる「あの人が振るだけでオケが鳴り出す」という感覚は、グッと来るものがあります。
これは、実体験で良く分かるのですよね。生オーケストラなど、滅多に聴きません。その希有な例外が幻想軌道1999ですが、舞台上のオーケストラは交代していないというのに宮川泰が指揮棒を振った瞬間に、まったく異質の情感豊かで美しい音が響き渡るマジック。
その感覚を描き切れているように思える点が、「おっ」と感じさせました。つまり、読んで損をしたとは思わなかったわけです。