2005年07月22日
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XMLデータベース開発方法論(2)スケーラビリティの重大な誤解、“大は小を兼ねない”

Written By: 川俣 晶連絡先

 下記の記事が公開されました。

しかし憂鬱であるのは…… §

 今日はもうへとへとです。

 それなのに、こういう記事が掲載されてしまうとは。

 またしても、喧嘩を売っているのではないかという誤解は怖いし、その上、実は突っ込む余地がかなりある内容でもあります。

 つまり、この記事の趣旨である「規模が違えば性質も変わる」という主張を仮に肯定したとしても、実はそれがXMLデータベースの必要性が存在するという根拠にはなり得ない、ということです。

 この話題をどうしても外せないのは、実はXMLデータベースの必要性を語るためではなく、「ただ1つの技術によって全ての問題に対処できる」と信じているために「議論の土俵」へ上がってくれない人達に、土俵に上がるチャンスを作るために必要だからです。

 念のために言えば、「正しい」「間違い」のいずれかを選択するという単純な議論には、さほど意義を感じていません。世の中のたいていのことは、それほど単純に割り切れません。単純に割り切れない問題に対処するために必要なのは、結論ではなく結論を得るためのプロセスです。プロセスを知っていれば、前提が変わればそれに対応した異なる結論を自分で導くことができます。議論の土俵とは、いわばプロセスが機能するためのプラットフォームです。そして、プロセスそのものも絶対普遍ではなく、それ自体が変化しうる存在です。そのような状況で共通認識に拠り所となるものは、議論の土俵=プラットフォームであって、結論でもプロセスでもないことになります。つまり、実は議論の土俵の共有こそが達成すべき最大の目標であって、結論の相違は些細な問題に過ぎないとすら思います。

しかし真に憂鬱なのは…… §

 @ITの新着記事紹介のメルマガを見たら、このように書いてありました。

■ スケーラビリティの重大な誤解、“大は小を兼ねない”

XMLデータベース開発方法論(2) IT業界の常識である「スケーラビリティは善」に異を唱える! データ処理においては「規模が違えば性質も変わる」が正しい認識だ

 まるで喧嘩を売っているような書き方でめげてしまいますが、真の問題はそこではありません。

 「規模が違えば性質も変わる」というのは、「データ処理においては」ではなく、「データ処理においても」成立するというのがこの原稿の趣旨です。

原稿執筆時のタイトルは…… §

 ちなみに、原稿執筆時のタイトルは以下のようなものでした。

大は小を兼ねない・スケーラビリティの限界を見極める

 編集部によって付けられたのが以下のタイトルです。

スケーラビリティの重大な誤解、“大は小を兼ねない”

 この2つが、いかに異なる印象を与えるかは驚くばかりです。