2005年08月06日
川俣晶の縁側過去形 本の虫感想編 total 2919 count

こちら葛飾区亀有公園前派出所 146 秋本治 集英社

Written By: 川俣 晶連絡先

 この巻は特に面白いなぁ。

「大阪の笑いは厳しいで~の巻」 §

 ひいきのキャラ、ハルが登場。

 しかし、本当に面白いのは東西の笑いのセンスの違い。

 特に、落語の「時そば」をやろうとする両さんに、「時うどんだろう」というブーイングが飛ぶところが面白すぎ。いや本当に、関西では「時うどん」らしいのですよ。

「超高性能(?)ロボット大集合の巻」 §

 いきなり冒頭から、車をミサイルで吹っ飛ばす老婆というビジュアルにインパクトがありすぎます。これは面白いですね。

「日英弓勝負!!の巻」 §

 アーチェリーの名手であるイギリスの捜査官エヴァと、和弓の名手である早矢のコントラスト。

 ハイテク装備のアーチェリーに、素朴な弓で同程度の成果を出す早矢が凄い。

 しかし、最も良いのは、爆弾の配線2本を切るために、2本同時に撃とうとするエヴァに対して、1本は自分が撃つと自分から名乗る早矢。このシーンが最高に格好良いですね。

「出会いの橋の巻」 §

 連載1400回記念作品。記念作品は、いつも昔の話ですが、これもそう。

 的屋の娘、祭ちゃんとの交流を描いていますが、的屋という商売の裏面をこれでもかというぐらいにズバズバと描いているのが凄いですね。子供が知ったら本当に衝撃を受けるような内幕です。

 しかし、その汚さを補って有り余る、と言うよりも、その汚さがより強調するのが、的屋の娘、祭ちゃんの魅力でしょう。ちょっとつり目でしっかり者の女の子ですが、同時に勉強熱心でもあります。合間に勉強するために店に教科書を持ってきていたり、いつも文庫本を読んでいたり。これは、とても多面的に魅力ある少女だと思います。

 (ただまあ、祭が子供を助けるために川に飛び込んでしまう展開はあまりにお約束過ぎてどうかという気もしましたが……)