うーん、これは凄い。
強い影響力のある著名人が著した定番化した怪談話……という漠然とした予感は裏切られました。
個々の作品は分かりやすい解釈や解決が与えられません。
その上、個々の作品は短く、合理的な解釈を推測するための手がかりもあまり与えられません。
何が何やら筋が通らないまま、雑然と投げ出されたような話がいくつも並んでいます。
それでいて、個々の話には強い魅力があります。しかも、意外性もあります。たとえば、ろくろ首の話は、首が伸びる妖怪の話ではなく、首だけが身体を離れて飛んでいく話です。
解説に寄れば、これらの作品は、日本に伝わる原作をラフカディオ・ハーンが更に解釈して描いたものであるようですが、彼には確かにこれを書きうるだけの何らかの資質があったのでしょう。誰でも書けるものではないと思います。
ともかく、実に興味深くて面白いですね。