2005年09月06日
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立喰師列伝 押井守 角川書店

Written By: 川俣 晶連絡先

 これは!

 とてもつなく面白い!

 しかし、面白さを読み取るためには、ある種の何かを必要することは間違いないでしょう。

 ともかく、表現の方法が多重的に仮想化されていて、そこから何を読み取るべきであるかは、著者と読者の間の勝負のような形になります。

 基本的には、ある書籍を下敷きに書かれた「立喰師」に関する民俗学的な書籍という感じになります。しかし、ここに登場する「立喰師」は、本文中ですら実在が疑われています。

 そして、下敷きにした書籍や、他の引用された書籍も架空の存在であって、全体がフィクションであることは明らかです。それにも関わらず、フィクションの中でそこで扱われる「立喰師」のフィクション性に言及したりもします。つまり、多重的に仮想化されているわけです。

 実に面白いですね。

 しかも、1つ1つ、立喰の対象となる食べ物に関する説明が念の入って詳しいのです。執念深く、よく調べて書いていると思います。

 それから、著名人が立喰師に扮して写真に写っているのも凄いですね。

 特に、ジブリの鈴木敏夫さんが冷やしタヌキの政に扮している写真。あの大ジブリの大プロデューサがこんなモデルをやっているとは。しかも、はまっているのが凄い。

 というわけで、非常に面白い本でした。