これは!
とてもつなく面白い!
しかし、面白さを読み取るためには、ある種の何かを必要することは間違いないでしょう。
ともかく、表現の方法が多重的に仮想化されていて、そこから何を読み取るべきであるかは、著者と読者の間の勝負のような形になります。
基本的には、ある書籍を下敷きに書かれた「立喰師」に関する民俗学的な書籍という感じになります。しかし、ここに登場する「立喰師」は、本文中ですら実在が疑われています。
そして、下敷きにした書籍や、他の引用された書籍も架空の存在であって、全体がフィクションであることは明らかです。それにも関わらず、フィクションの中でそこで扱われる「立喰師」のフィクション性に言及したりもします。つまり、多重的に仮想化されているわけです。
実に面白いですね。
しかも、1つ1つ、立喰の対象となる食べ物に関する説明が念の入って詳しいのです。執念深く、よく調べて書いていると思います。
それから、著名人が立喰師に扮して写真に写っているのも凄いですね。
特に、ジブリの鈴木敏夫さんが冷やしタヌキの政に扮している写真。あの大ジブリの大プロデューサがこんなモデルをやっているとは。しかも、はまっているのが凄い。
というわけで、非常に面白い本でした。