謎のアニメ感想家(笑)、翼の騎士トーノZEROのアニメ感想行ってみよう!
今日届いたFF7ACの感想。
タイトル §
FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN
あらすじ §
FINAL FANTASY VIIの2年後の世界。
子供達は、星痕という痛く死に至る印が体に刻まれています。
ジェノバを母と呼ぶセフィロスの若き同類が、ジェノバの首を求めて神羅を襲います。
クラウドも彼らに襲撃されますが、やる気を出せません。
しかし、いろいろあって、クラウドはやる気を出します。
ビンセントは、星痕とは体の中の悪いものを外に出すための仕組みだと言います。
かつての仲間達も集まり、クラウドは彼らと戦って勝利します。
子供達の星痕も直ります。
感想・一人のFINAL FANTASY VII好きとして §
FINAL FANTASY VIIというのは、FINAL FANTASYシリーズの中で、最も好きなものです。
なぜ、これが好きなのかと言えば、いろいろな理由があると思います。
別のところで、いろいろと理由を書いたような気がします。
しかし、FF7ACを見て良く分かったのは、主人公が良いという極めて大きな特徴があるということです。つまり、クラウドです。
クラウドはとても優しく、そして強い。彼の表情は、けして刺々しくありません。その点で、セフィロスの同類達とは正反対です。
そして、仲間を思いやる気持ちや、罪に対する真摯な気持ちなどを持ち続けています。
しかし、剣を何本も収納したバイクを乗り回しているし、いざとなれば無類の強さを発揮します。
まさに、感情移入するに足る良い主人公です。
セシル、バッツ、ロック、スコール、ジタンの誰も、この水準には達していないと言えます。ただ、ティーダだけは、彼らより一歩抜きん出た真摯な魅力があるような気がします。気がするだけで根拠はありませんが。
そして、ヒロインの不在という決定的に特徴づけられた特異な物語構造。明らかにヒロインと呼ぶべきエアリスは、物語の途中で退場してしまうにも関わらず、不在であるがゆえに強い存在感を常に持ち続けます。この作品でも、エアリスは強い存在感を示します。(ザックスもエアリスと一緒に出てくるところは驚きでしたが)
ヒロインの不在は、ティファとクラウドの関係にも影を落とします。二人は素直に愛し合うことができません。かといって、愛がないと言うわけでもないでしょう。そして、1つの不幸は、ティファはエアリスを憎むことができないことですね。この一角が不在の三角関係は、ハッピーエンドが可能であるにも関わらず、永遠に緊張感を維持し続けます。
召喚獣バハムートも、敵にまわすといかに恐いかが痛烈に描かれているのが良いですね。
そして、それに対抗するために来てくれる仲間達。
ビンセント、レッドXIII、ユフィ、バレット、シド、ケットシー。
彼らは文句なく格好良いです。
あらためて考えてみると、本当に格好良い仲間達を揃えたFINAL FANTASYはあまり多くないような気がします。うーん、仲間が格好良いのはVIIの他にはどれだろう……。そういう意味では、FINAL FANTSY VIが格好良いかな。エドガーとかカイエンとかセリスとかシャドウはやっぱり格好良いでしょう。でも、この映画のこの連中も凄く格好良いですね。
もっとも、ケットシーは自力ではほとんど戦っているようには見えませんね。レッドXIIIの上にいて騒いでいただけという風に見えました。いや、コマ送りで見たら違うのかもしれませんが。っていうか、相変わらずリーブは猫を操ってるのか!
感想・映画FINAL FANTASYのリベンジとして §
いや、何回も言ってるような気がしますが。
映画FINAL FANTASYが本来目指すはずだった世界は、きっとこの作品の世界だったのでしょう。
そんな気がします。
映像に込められた執念に、あの映画の恨みが感じられるような気がしてなりません。
実際、あの映画の問題点は全て解決しているように思えます。
特に、煮え切らない設定とストーリーは一掃されていますね。理屈をごちゃごちゃ言わず、見せ場はバイクアクションと剣技に絞られています。理屈抜きに、映像だけ見ていて面白くなっていますね。
感想・1本の映像作品として §
明らかに映像表現的にリアルな映画ではないです。
ほとんど人間が空を飛んでいるに等しいシーンや、あり得ないアクションがずらっと並びます。
ゲーム的な映像と言っても良いですね。
そして、それは全く正しいと思います。
リアルであることは、達成すべき目標では全くありません。
リアルさが欲しければ、そのへんでカメラをまわしてありのままの現実を撮れば良いのです。
あえてCGで映画を作るというのであれば、やはりあり得ないウソを描くために使うのが必然というものでしょう。
あるいは、ゲームであるならば、それにリアルな映像を付けることは無意味であると言うことができます。ゲームはゲームなのだから、それに相応しい水準の映像を付けることが、逆にゲームとしての持ち味を良くします。
話はずれますが、なぜFINAL FANTASY VIIが良いのかという理由もそれになりますね。つまり、映像のリアルさを上げることは、むしろゲームの魅力を引き下げる効能があるのではないかと。実は、FINAL FANTASY VIIの映像表現の水準こそが、ゲームとしての最善であり、後は改良しているつもりで、実は改悪していただけという可能性が考えられます。
話を戻して。
やはり見終わって最も印象に残るのは、全員の助けでジャンプするシーンと、バイクのシーンですね。あと、ティファの格闘。
ジャンプシーンは、ほとんど「ウソ」にしか見えません。しかし、全員の助けを借りて、クラウドが舞い上がったバハムートに攻撃を仕掛けるというシチュエーションそのものが泣かせます。そう、ここは泣かせどころだから、ウソでもこうすべきところです。
バイクの特に戦闘シーンは凄いですね。このスピード感と緊張感が凄い。何しろ、最後にはバイクからジャンプして戦っていたりするぐらいですから。あり得ない展開ですが、だからこそ面白いし、新鮮味もありますね。
ティファの格闘は、この落ち着いた大人の女になってしまったティファが、まさかここまでやるとは!という驚きに満ちています。ゲーム中の極端に短いスカートの格好なら、派手なアクションも予想可能ですが。それよりも、はるかに長いスカート、しかも黒い大人っぽいファッションでこれをやるとは思いませんでした。
音楽 §
音楽がねぇ。ここぞというところで、懐かしいゲームの音楽のメロディーラインになるのですよ。
しかし、懐かしさだけでなく、良い音楽ですね。
久々に本気でサントラCDが欲しくなったなぁ。
結論 §
これは、いわゆる1つのエポックメーキングな作品であって、おそらくはこれ以前と以後を違う時代に分ける効能があるような気がします。
いや、世間が時代を分けるかどうかは知りませんが。
少なくとも、私の時代ははっきりと区切られたような気がします。
FINAL FANTASY VIIによって区切られたのと同じように。