2005年12月21日
川俣晶の縁側過去形 本の虫感想編 total 2596 count

覘き小平次 京極夏彦 中央公論新社

Written By: 川俣 晶連絡先

 3月に買ってから9ヶ月。やっと読み終わりました。

 というか、本気で読み始めたら一気に読めたような気がします。

 さて、これは分類が難しい不思議な話ですね。

 怪談のようで、怪談ではありません。

 かといって、怪談を仕掛けているという仕掛けのドラマでもありません。仕掛けられた怪談は確かにありますが、それは物語の背景として中盤に出てくるだけです。

 特に特異であるのが、小平次とお塚の関係です。

 押し入れの中に入って覗いているだけの存在である小平次。

 その小平次をなじり続けるお塚。

 それにも関わらず、この二人の関係は強固であり、他人が入り込める余地がありません。

 たとえ入り込んだと思ったとしても、それは手段として使われているだけのことです。

 これは、はたして1つの安定した男女関係と見て良いものであるのか?

 これは、当人には幸福な男女関係の1種と見て良いのか?

 ちなみに、何となく連想したのは、映画・機動警察パトレイバー2の柘植と南雲の男女関係でした。あまり類似点はありませんが、何となく連想しました。