電車の中であっさり読み終わりました。
これは凄いですね。面白いです。
良いところは多いですが、中でも最も良いのはケンヂの「永遠にやる万博なんてあるか」という台詞ですね。そして、続いて告白される1970年の大阪万博へのトラウマ。
ケンヂは結局大阪万博に行けなかったというトラウマを語りますが、たとえ行ってもトラウマは残ります。たとえば私は確かに大阪万博に行きましたよ。父母に連れられ、妹と一緒に。新幹線に乗って。宿泊したホテルの名前がオリエンタルホテルということだけ、やけに鮮明に覚えています。しかし、月の石の記憶など全くありません。なぜって、見てないのですから。人気が集中するアメリカ館やソ連館は行かず、無名の空いている国々のパビリオンを回ってきたのです。
結局、その現場に行っていながら肝心の目玉を見ていないというトラウマを、確かに私も万博で植え付けられています。
たぶん、あのイベントは、行った者にも行かなかった者にも多くのトラウマを残しているのだろうと思います。
そういう感覚が、非常によく描かれているような気がしたので、とても印象深いですね。