仕事の合間等にパラパラと読んでいたら、あっさりと読み終わりました。
ありゃまあ。
たぶん、香山リカさんの書く文章が分かりやすく読みやすいからでしょう。これは希有な美徳かも?
印象はまだ上手くまとまっていませんが、良い本だと思います。
著者の興味が、コイズミけしからん……、ではなく小泉自民党の大勝利のメカニズムの分析に向かってストイックに進んでいるのが良いところです。
あるいは、個人的な思い込みを熱弁してしまわない冷静さも良いですね。
ポストモダンが分かった(気がした) §
さて……。
この本の最大の収穫は、これまでなんだか良く分からなかった「ポストモダン」という言葉が、すっと胸に落ちたことです。
つまり、今の日本の状況がポストモダンということなのですね。
いい加減に要約すると(いい加減なので信じてはダメだぞ!)、ポストモダンとは「大きな物語」が失われた状況であって、そこでは政治の左右という対立軸も消失します。ゆえに、共産党支持者が、今回は小泉自民に投票しよう……という行動が可能になるわけです。というか、可能になるという言い方は実は正しくなく、ポストモダンを生きている30代以下の世代から見れば、それが自然の状態ということです。受容するために「可能になる」という考え方を要するのは、それが不可能性を帯びた概念であった時代の感覚を引きずっている40代以降なのでしょう。
というわけで、なかなか興味深い良い本だったと思います。
全てを理解できたとは、とても言えませんが。