2006年04月16日
トーノZEROアニメ感想かしまし~ガール・ミーツ・ガール~total 16148 count

ファンの質の低さに呆れ果てる! この優れた結末を「あのね商法」などと金儲けの手段扱いするのか!?

Written By: トーノZERO連絡先

 トーノZERO, THE BELKANアニメ感想家(笑)のアニメ感想……ではありません。

 やっと、かしまし~ガール・ミーツ・ガール~の最終回を見ましたが、その後で猛烈に腹が立ったので、一言だけ書いておこうと思ったわけです。

 ちなみに、今ごろ最終回を見ている理由は、仕事が忙しく、ACE COMBAT ZEROに時間を取られ、あまつさえアニメの新番組の多さに飽和状態に陥っていたからです。一応、地上波VHFの新番組アニメの第1話は一通り見たのですよ。

アニメ界最大の欠陥はファンのレベルの低さか? §

 やはりアニメ界最大の欠陥はファンのレベルの低さなのか!!

 というのが、この文章の趣旨です。

 まあ、昔から分かっていたことではありますが。

あのね商法とは何か? §

やじうまWatch

 より引用

【2006/04/06】

■ 結末はDVDで……テレビアニメに“あのね商法”が流行か?

1992年に公開された「パ★テ★オ」。3部構成で、1、2部はフジテレビでテレビドラマとして放送、結末の3部は松竹系の映画館で上映と、変わった方法で公開された。無料部分で客を引き寄せておいて結末で金を取る、ちょっとえげつない手法と、肝心の結末がたいしたことがなかったことで、この作品のネットでの評判ははなはだ悪い。さて現在、同様の手法がアニメ界に引き継がれているようだ。「ぬるヲタが斬る」によると、俗に「あのね商法」と呼ばれているようだ。テレビ東京ほかで放送していたアニメ番組「かしまし~ガール・ミーツ・ガール~」の最終回のこと。放送時間が終わる間際に、登場人物が「あのね」とセリフを言ったとたん番組は終了。結末を見たければ、半年後に発売のDVDを購入しないとならない。これはファンには歯がゆい。どうやらこの「あのね商法」がほかの番組でも使われる兆しがあるようだ。歯がゆい思いをする人がこれから続出することになるのか?

 実は、私もうっかりしていました。

 最近のアニメには、事実として放送上の最終回が、ストーリーの最終回になっていないものが多数あります。たとえば、26話の作品として制作されたアニメを放送するために、それより数回分少ない放送枠を買って放送されるような事態はフジテレビ等では日常茶飯事であり、そういう問題について書いている記事だと思ってしまいました。

語られざる結末のドラマ §

 まず、結末は全て語られるべきもの……という考え方は誤りです。

 たとえば、ラストシーンが、いざ決戦に出発(決戦そのものは描かれない)……という小説を読んだりして、物足りなさに悔しがったこともありますが、これはこれで正しいのです。描いてしまえば陳腐になる、描かないからこそ大きく夢が広がるドラマもあります。

 また、ラストシーンが何かを始めるシーンであり、具体的な行動としての何かが描かれないケースもあります。たとえば、銀河旋風ブライガーは、太陽系での冒険を決着させた主人公達が外宇宙へ旅立つところで終わり、STAR TREK THE MOTION PICTUREではエンタープライズ号が新しい冒険に旅立つ(The human adventure is just beginning)で終わります。

 しかし、「かしまし」のラストシーンは、そういうものではありません。

 この結末は、「語られざる結末」ではなく、「雄弁に語られた結末」なのです。

結末を振り返り分析してみよう §

 「かしまし」の物語は突き詰めていくと三角関係のドラマです。

 究極的に視聴者を納得しうる結末とは、「はずむ」が「やす菜」と「とまり」のどちらと結ばれるかです。

 この結論を明確に示し、それを語り尽くせば、この物語は綺麗に終わったと言えます。

 そして、まさにこの最終回は、それを綺麗に語り尽くし、結論を明確に示し、紛れもなく見事に美しく終わっています。

 では、なぜ「あのね」でその後に何かを言おうとしたところで終わってしまったにも関わらず、語り尽くしたと言えるのか。

 それは、言葉で語りうることは、それ以前のドラマの中で全て語り尽くされているからです。

 これは別の疑問を発生させます。

 もし、全てが語り尽くされていたとすれば、なぜ語り尽くされた時点で物語は終わっていなかったのか。

 その理由は、やす菜の病理にあります。

 この物語は、最初から最後まで、一貫して「はずむ」と「とまり」が赤い糸で結ばれた存在であることを示唆し続けています。その事実に気付かない二人が、それに気付いて結ばれるのが、「かしまし」という作品の骨格です。

 そして、まさに二人がそれに意識的に気付き始めるまさにその時に、「やす菜」の病状は悪化します。

 それまで、「はずむ」の立場は、どちらも傷つけたくないから選べない……というものでした。しかし、ここで、それが決定的に変質します。「はずむ」が「やす菜」を選ぶ理由は、病気を持つ「やす菜」の側にいてあげねばならないから……という恋愛感情とはやや違うものに変化します。

 「とまり」も、そのことを理解した上で、「はずむ」と別れることを承認します。

 ここで、1つだけ付け加えるならば、病んでいる「やす菜」を放置して自分たちだけ結ばれて幸せになろう……などと思ったとしたら、「はずむ」と「とまり」はイヤな奴になっていたでしょう。しかし、病んでいる「友人」のために、自分たちを犠牲にするという選択を取ったことは、それが正しい選択かということは別として、「こいつらはいい奴だ」と呼ぶに値します。

 さて、「やす菜」自身、「はずむ」が自分を選んだ理由が自分の病理にあることは分かっていたはずです。つまり、自分が本当に「はずむ」に愛されていないことも分かっていたのはずです。事実として、駅のホームで行われた『抱き合う「はずむ」と「やす菜」』という事件が幻であるにも関わらず、『キスをする「はずむ」と「とまり」』という事件が事実であるという差を、「やす菜」自身は知っていたわけですから。

 そして、視聴者にもそれは提示されていました。

 それゆえに、「やす菜」は自分の病状が改善された後、「はずむ」に助けてくれた礼を言って「はずむ」を解放しなければなりません。

 その事実を表現するために、くどくどと説明する長い台詞は要りません。

 改まって何かを伝えることを示す「あのね」という台詞と、「とまり」のところに走っていく「はずむ」という描写だけで十分です。「あのね」に続く言葉が何であったのかは、「はずむ」の行動を見れば分かります。

 さて、更に秀逸であるのは、この後です。

 「はずむ」は、「とまり」の前で、川の石を渡って向こう岸に渡ります。これは、作中で繰り返し提示された「はずむ」が「とまり」のお婿さんになる試練です。つまり、言葉で語らずとも、「はずむ」が「とまり」に何を語りかけたいかは、その行動そのものが語っています。

 最後の台詞となる「はずむ」の「あのね」は、その行動によって語ったことを言葉で繰り返そうとした行動の最初の言葉に過ぎず、当然のことながら聞かずとも何を言いたいのかは分かります。

 つまり、「やす菜」の病状が完全に回復し「はずむ」という支えが不要になり、本来結ばれるべき「はずむ」と「とまり」が結ばれるという見事なまでに綺麗な結末がここに出現したわけです。

 ここで、「あのね」に続く台詞を言葉で言わせなかった演出センスは秀逸と言えます。語られなかったことによって得られた美しい余韻に浸ることができるわけですから。

物事を語る手段は言語だけではない §

 映像作品において重要なことは、いかにして言葉に頼らず、映像で分からせるかです。

 言葉で説明して分からせるのなら、小説やラジオドラマと大差ないことになるからです。

 ゆえに、個々のポリシーの差はあるにせよ、映像作家はいかにして映像で語るかに腐心します。

 「かしまし」のラストシーンは、この「映像で語る」の優れた成功例だと思いました。川を渡るという描写に特別な意味を与えておき、それを見せるだけで語り尽くし、台詞は「あのね」の3文字だけで終わり。たった3文字しか発声されていないのに、映像が雄弁に語り尽くしています。

 映像作品が持つべき、1つの理想的な結末の描き方だと思います。

 実に見事。

 良いものが見られました。

 ……でも、これを「商法」と見る意見ばかりということは、これが良いものだと評価する「作品を見る目」はほとんど無いわけですね。

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2006年05月31日「あのね」で終了だったら問題はない、続きがあるから問題。From: ちょっとした記録

http://mag.autumn.org/Content.modf?id=20060416031400 ここで、「あのね商法」に対する反論を見ました。 この点に関して、こっちも一部反論したいことがあります。 「あのね商法」と言う言葉はファンの質が低い為だといいますが、 この「かしまし」の問題は「あのね」に続.. 続きを読む

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