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2006年04月27日
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オルランド戦艦建造秘話「カズサ誕生物語」

Written By: 遠野秋彦連絡先

 オルランド宇宙艦隊において「戦艦」と分類されるのは100Kクラスと称される全長約100kmのバトルシップである。より厳密に言えば、このクラスは、BS(バトルシップ)部(全長約70kmの細長い円筒形状)とBC(ベースシティ)部(直径約30kmの円盤状)が結合された構成で、厳密に言えばこのBS部のみが「戦艦」と呼ばれる部分にあたる。

 しかし、オルランドを知る多くの者達が、オルランドの戦艦という言葉からイメージするのは、2Kクラスと称される全長約2kmのバトルクルーザー(巡洋戦艦)であろう。

 そもそも、100Kクラスは広範囲の地域のオルランド部隊を統括する旗艦として投入されることが多く、そこに招かれる幸運に預かる場合を除き、オルランド人以外の目に触れる機会は少ないのだ。

 一方、オルランドのミリタリーパワーとして現場に投入されるバトルクルーザーは、オルランドと接触する者達のかなりの割合が目撃するか、そうではない場合でも存在を聞かされることになる。

 むろん、大宇宙の守護者を自認するオルランドという組織の持つ特質からバトルクルーザーの武装が火を吐くことはまず無い。たとえ、そういうことがあるとしても、バトルクルーザーのC型以降に装備された最強兵器たる艦首恒星破壊砲(1回のみ発射可能。再発射にはカートリッジ交換が必要)が発射されることは絶対にあり得ないと言っても良いだろう。撃たずとも勝てるからである。

 つまり、オルランドのバトルクルーザーとは、たいていの場合、圧倒的な最強兵器であり、まさに最強兵器の称号たる「戦艦」の名で呼ばれるに相応しい存在と言えるのだ。

 さて、この2Kクラス・バトルクルーザーに関しては、ある種の都市伝説が存在する。

 それは、オルランドが20世紀初頭に建造した水上艦としての戦艦カズサ、シモウサを宇宙戦艦に改造したものが、2Kクラス・バトルクルーザーの最初の2艦となるカズサ、シモウサだという説である。

 このような都市伝説の背景には、もちろん、1974年に日本で放送されたアニメ作品、宇宙戦艦ヤマトの影響を見て取れる。宇宙戦艦ヤマトは、宇宙からの侵略者の襲来という地球の危機に際して、沈没した世界最大(!)の戦艦である大和を宇宙戦艦に改造するという設定になっている。

 これを、宇宙からの侵略者を迎え撃った祖国防衛戦争(オーバーキル・ウォー)という史実に重ねて見る者達がいたことは否定できない事実だろう。

 そこで、名前が同じ、サイズも同程度、シルエットにも類似点が見られる水上戦艦と宇宙戦艦が存在することから、改造説が浮上するわけだ。実際、あれほど巨大な戦艦を、これほど短期間で新規に建造できるわけがない……、既存の実験艦(X-2やX-3)と比較してデザインが不自然に水上戦艦に似すぎている……、といった疑問を持つならば、「それは既存の戦艦を改造したからだ……」という説明は非常に分かりやすいものだろう。

 では、実際はどうなのだろうか。

 まず、水上戦艦のカズサ、シモウサの歴史を振り返ってみよう。

 この2艦は、オルランドがまだ国際社会から抹殺された太平洋の小国だった時代に建造されている。ここでいうオルランドは、海賊の末裔が勤勉な現地人と混血して発展させた地球上の国家としてのオルランドである。

 当時のオルランドは、自国を守るために、各国で迫害された学者、知識人などを積極的に受け入れており、科学技術は他国よりも数十年進んでいると言われていた。20世紀が幕を開ける頃には既に核兵器の生産にも目処を付けていた。

 この破壊力が大きすぎる兵器を、十分な遠距離まで飛ばす手段として構想されたのが、核砲弾専用戦艦としてのカズサ級である。カズサのスペックは、全て核砲弾を使うという前提から逆算されて決定されたものとなる。たとえば、主砲となる80cm砲は、核弾頭をそれよりも小さな口径で発射できる技術的な目処が立たないことから選択されたものであり、約2kmという非常識に長大な船体は核砲弾の直撃に耐えるという前提から行われた多層防御から最低限要求されるサイズであった。

 この画期的な戦艦は、日米が太平洋の覇権を競う20世紀前半においてオルランドの独立を維持するために最重要の兵器と見なされていた。事実として、カズサ級戦艦2隻と、双胴船体式の空母3隻を中核とするオルランド海軍は、オルランドの独立を守りきることに成功している。(日米側に記録はないが、太平洋戦争中に日米軍がオルランド領内に軍事的な手を伸ばそうとした事件はいくつかある)

 そのような戦艦を完成させた功績を称え、半ば名誉職となっていたオルランド皇帝(驚くなかれ、小国オルランドの長は皇帝を名乗っていたのだ)は、主任設計員の生まれ故郷「千葉」の旧名となる「カズサ」「シモウサ」という地名を画期的な戦艦に名付けた。旧国名を戦艦に名付けるというのは、彼の生まれ故郷である日本の海軍でも行われる命名規則であり、これぞ戦艦に相応しい名前である……、と皇帝は考えていたが、主任設計員は全く喜ばなかったという。

 しかし、核兵器の小型化と、超音速爆撃機の急速な改良に伴い、核砲弾専用戦艦の存在意義は急速に消えていった。太平洋戦争中ですら、これほど大きな戦艦は要らなかったと言われたほどで、カズサ、シモウサの出撃とは「巨体で威圧して核を撃たずに敵にお帰り願う」ための手段とまで酷評された。

 その後、カズサ、シモウサの2艦が解体されず、モスボール状態で保存されたのは、各国の海軍関係者を威圧し、トラウマを与え続けるためだったと言われる。

 しかし、祖国防衛戦争の初期、つまり宇宙からの資源によって潤う前の段階において、両艦は資源として再利用するために解体された。

 カズサ、シモウサが本当に実戦で核砲弾を発射したかどうかは諸説入り乱れて良く分からない。しかし、オルランド人にとっては国家の誇りとして巨大の印象が強く刻み込まれたことは間違いない。実際には、双胴空母の方が遙かに役だったにもかかわらずである。

 さて、水上戦艦のカズサ、シモウサがメガフロートの船舶保管区域から姿を消したあと、しばらくして宇宙戦艦カズサが、やや遅れてシモウサが進宙している。

 これらは、実験艦シリーズと言われたX-1からX-3までと異なり、量産される主力兵器として設計された一連の兵器群の一角を担うものだった。

 そのような栄光ある2Kクラス新型主力宇宙戦艦の最初の2隻に対して、「カズサ」「シモウサ」という名前を与えることに誰も異議を唱えなかった。それが、オルランドの国民性というものだった。

 さて、100Kクラスが構想もされていなかったこの時点で、2Kクラスは文句なく主力戦艦だった。この時点では、まだバトルクルーザーとは称されていなかったのである。

 この2Kクラスとはいかなる意図で設計されたものなのか。

 その主たる意図は、単独で必要とされるいかなる場所にも進出し、攻撃機や戦闘機の母艦となると同時に、いかなる敵艦とも1対1の砲撃戦で負けない……ということだった。

 ある意味で欲張りな要求と言えたが、それを満たすためには、実験艦X-3の約700mという全長も遙かに超え、約2kmの大きさが必要とされた。技術者は、これだけの性能をわずか2kmに納めた技術力を誇るべきだと主張したが、宇宙からかき集めた膨大な資源を無尽蔵に投入できねば、到底量産などできない怪物であった。

 つまり、水上戦艦カズサと宇宙戦艦カズサの全長が似ていることは、異なる要求から技術的に得られた結論がたまたま一致したに過ぎないものだった。

 では、シルエットはどうだろうか。実は、よく見ると水上戦艦カズサと宇宙戦艦カズサのシルエットはあまり似ていない。似ているのは、主砲の配置だけと言っても過言ではない。水上戦艦カズサは、前部に連装砲塔2基を背負い式に配置し、その後ろに艦橋や煙突等の構造物を置き、その後ろに連装砲塔1基を置いていた。この配置は、通常砲弾での砲戦を行いうる最低線である主砲6門を確保すると同時に、核砲弾に事故があっても射撃が継続できるよう、砲塔の1基は離して配置するという意図によるものである。

 一方、宇宙戦艦カズサの砲塔配置も上半分に限れば、これとそっくりである。前部に連装砲塔2基を背負い式に配置し、その後ろに艦橋やセンサー等の構造物を置き、その後ろに連装砲塔1基を置いている。ちなみに、後部砲塔の真下にも連装砲塔1基が装備されている。

 しかし、このような配置になった理由は、水上戦艦カズサの模倣ではない。本来は、船体をよりコンパクトにまとめるために、主砲は前部に集中的に配置する案が有力であった。しかし、主砲前部集中配置方式を取っていた量産実験艦X-3を運用する前線部隊の意見は違っていた。素早く変動する状況に対応するためには死角は少ない方がよく、また砲を一カ所に集中すると、運が悪いと1発で全主砲発射不能になることもあるということだった。

 そこで、1つの砲塔に組み込む砲を減らし、砲塔は分散して配置する方向に転換した。当初最も有力だった3連装砲塔3基、あるいは4連装砲塔2基を前部に集中配置する案は却下され、2連装砲塔4基を、前方上部に2基、後方上部に1基、後方下部に1基配置する形になった。(ちなみに、前方下部には爆撃等の対地攻撃装備と、面制圧のための拡散ビーム砲が装備されているので主砲は無い。C型以降は、これらが除去されて恒星破壊砲が装備されている)

 ここまで見て分かる通り、あたかもアニメに出てくる宇宙戦艦のように、水上戦艦カズサ、シモウサを宇宙戦艦に改造したというのは、全くの都市伝説に過ぎない。

 実際、全長700mのX-3を量産していたアステロイドベルトの建艦工場群が存在することを考えれば、全長2kmの戦艦2隻を建造することなど、たやすいことだったと言えるだろう。X-3、10隻の建造を取りやめるだけで、この2隻を余裕で建造できたのだ。水上戦艦を改造する必要など、全く無かったのだ。

 最後に1つだけ別の解釈について触れておこう。防諜上の欺瞞工作として、意図的に宇宙戦艦カズサ、シモウサは、水上戦艦に似せて作られたという説である。新規に建造した宇宙戦艦を海上浮かべておけば、誰もこれが最新戦艦とは思わず、歴史ある水上戦艦のカズサ、シモウサだろうと思うだろう……というわけである。

 しかし、この説も一種の都市伝説と言える。なぜなら、進宙したカズサ、シモウサを地球に降ろす予定は、大気圏内で行ういくつかのテストを行う短期間しかなく、海上に長時間係留する予定など無かったからである。防諜という意味では、アステロイドベルトに、カズサ、シモウサ完全に収納できる密閉型軍港が用意されていた。ここに入れて外から見えないようにするのが、新兵器の秘密を守るために用意された手段であって、形状による欺瞞という工作が行われたという記録はない。

 いずれにしても、宇宙戦艦を水上戦艦に偽装するというのは、あからさまに無理のある話と言える。船体の全体的なライン1つ取っても、両者は決定的に違うのである。見る者が見ればすぐにばれてしまい、欺瞞に役には立たないだろう。

 それにも関わらず、まことしやかに都市伝説が語られ続けるのはなぜだろう?

 これを読者の皆さんへの最後の問い掛けとして、ここで筆を置かせて頂こう。

(遠野秋彦・作 ©2006 TOHNO, Akihiko)

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