このビジュアルやファッションセンスを見ると、どこかホッとする感じがありますね。
完全に今から見れば時代錯誤な古い表現に過ぎないわけですが、これは1つの時代を代表する1つの完成された型と言って良いのでしょう。
ホッとするというのはどういうことか §
感想を書き始めてハッと気付いたのですが、「ホッとする」という感想には実は深い意味がありそうです。
この表現にホッとするということは、裏を返せば、今時のオタク向け作品の表現にはホッとできないことを意味します。
つまり、あの当時の通俗的オタク表現には、さほど大きな屈折は含まれておらず、明るく脳天気に表現を信じることができたのだと思います。それに対して、今時のオタク向け作品の表現には、ひきこもり、ニート、差別、孤立、圧倒的な情報量による感覚麻痺、等々の問題を反映した何かの屈折が含まれているのかもしれません。
でも、面白くないよね §
うん。面白いコミックかと言われると、そうではないですね。
2006年の今読むから好感を持って迎えることができますが、この手の表現があふれかえっていた時代なら、あっさり捨てていたかも。
それにしても、事情はきちんと調べていませんが、このいかにも1980年代っぽい作品が、どうして1995年に出版されたのでしょう?