2006年09月22日
川俣晶の縁側過去形 本の虫感想編 total 2766 count

王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ 3,4,5 大河原遁 集英社

Written By: 川俣 晶連絡先

 いや~、1日に3冊も王様の仕立て屋を読めるとは極楽極楽。

 しかし、それができるのも、コミックスならではですね。小説なら、こうは行きません。

 感想に書きたい話題は2つ。

ラウラ §

 さすがに男ばかりでは男色作品と色眼鏡で見られると思ったのか、悠のライバルとしてツインテールの天才少女、ラウラ登場。

 いや、ライバルではないかな。

 圧倒的に悠に格負けしている感じ。

 しかし、それでも熱く燃えたぎりながら、個人的に悠に挑戦し続けるあたり、これもまた1つのイタリア人らしさなのかな……と思いますね。

 イタリア最高!

 宮崎駿が、イタリア人としてポルコ・ロッソを描いた理由が分かる気がします。

陽気なナポリ人 §

 もう1つ、マルコとヴィレッタの陽気さも良いですね。

 無理をしたり、たかったりもしますが、そのことに罪の意識はあまり見せません。ただ陽気に乗り切るだけです。

 こういう態度は、本来なら良いものとは言えません。約束を守れない、筋を通せないというのは、付き合う相手としては信頼できません。

 しかし、ストレスを溜めない生き方……という点では、悪くないという気がします。

 たとえば、マルコが迷惑なことをしでかしても、一発遠慮無く殴って終わり。そして、そのことを後々まで尾を引かず、容器に明日を生きていく……というのは魅力がある生き方だと思います。

 やはり、暖かいナポリという土地柄があっての陽気さでしょうか。